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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.22 )
日時: 2014/09/22 23:26
名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)

第三話

周りのざわめきから、私はこんなことを聞き取った。

・二人の少年は、これから「決闘」を始めるのだということ。

・「決闘」は、先生の特別な許可が下りない限り、禁止されているということ。

・そして案の定この決闘は、誰の許可も下りていないものだということ。

嘘でしょ・・・?入学式初日から、こんなことが起きるなんて。
私が困惑したまま辺りをキョロキョロ見回していると、ジーク
のことを思い出した。

「あっそうだ、ジーク!!」

私は急いでジークの元へと駆け寄った。

「ジーク、こんなところで何するつもり?こんなの無視して、さっさと中に入ろうよ!」

私の必死の説得も、ジークはお構いなしだった。
「うるせえな、止めるなよ。俺は決闘が始まり次第、こいつらを止めてやるつもりなんだぜ?いいことだろ?」

「で、でも・・・」

でもなんだか違う気がする。ここは先生か誰かを呼んできたほうが絶対に良いし、何よりこいつが関わると・・・余計なことにならない気がする。

私がいろいろ考えていると。

「おい、お前!」

突然、左側の男の子が喋り始めた。
ざわついていた野次馬たちも、何だろうと耳を傾けている。

「よくも、俺のマイハ二ーを取りやがったな!」

ガ、ガクーッ。

そんなことで・・・

右側の男の子も反論する。

「そんなの、あいつが勝手に僕に惚れたのが悪いんだ!」

・・・ココ、ほんとにセレブ校だよね・・・?

私が疑問を持ち始めたのも、当然のことだと思う。

さっきの言葉で感情が高ぶったのか、左側の男の子の顔が、みるみるうちに赤くなってゆく。

「もう許さないぞ。天誅!行け!」

男の子がまっすぐ前を指差すと、浮かんでいた拳大の岩が、右側の男の子めがけてものすごいスピードで飛んだ。

「そう簡単にいくかよっ!」

右側の男の子が隠し持っていた杖を振ると、巨大植物が男の子の周りを覆い、守る。

「わああ・・・!」

これが魔法なんだ・・・!

思わず感嘆の声を上げた私の隣で、「よっしゃ!」という声が聞こえた。

見るとジークが、胸元にかかっている鎌の形のペンダントに触れたところだった。

「ジーク?わっ!」

私は思わずのけぞった。
だって、親指ほどの大きさしかなかった鎌が、ジークの身長くらいに一気に巨大化したのだから。

ジークはブンッと大鎌を一振りすると、少し体を引いてから、一気に飛び出した。

「楽しそうだな、俺も混ぜろ!」

やっぱり!

「やっぱり、止める気ないじゃないっ!!!」

私はジークを止めようとするが、もう間に合わない。

ジークが、大鎌を振りかぶる。

誰か・・・!

「やめんか、貴様らアアアア!!」

っ、誰!?

突然響いた低い声に、肩がびくっと上下する。

声のしたほうに視線を向けると、颯爽と歩いてくる一つの集団があった。

見ると、ジークも男の子たちも動きを止めていた。

すると、かすかに。

ジークが、

「げ・・・ギルバ・・・」

そう、つぶやいたのが聞こえた。

また声が響いた。

「私は、セント・ブラックウェル学園特別調査隊隊長・高等学部2年、ギルバート・カールソンだ!・・・誰か、この状況を説明できる者は?」

喋っているのは、一番先頭に立っていた人物だった。
左目に眼帯、黒い短髪。190cmはありそうなスラリと伸びた身長に、がっしりとした体つき。見るからに怖そうな人だった。

ギルバート隊長はゆっくりと辺りを見回し、ある一点に目を留め、眉根にしわを寄せた。

視線の先には、こそこそと逃げようとしていたジークがいた。

「ジーク・オースティン・・・また貴様か。」

ギルバート隊長が、ため息混じりに言う。

ジークはパッと振り向き、作り笑いを浮かべながら言った。
「やーだなー、ギルバちゃん。俺はちょっとケンカを止めようとしてただ・・・」
「問答無用だ。一緒に来てもらおうか?そこの男子生徒たちも一緒に。」

「・・・。」

ギルバート隊長の鋭い視線におされたのか、ジークも男の子たちも、黙って後にについていった。

はあ・・・。

こんなんで、ちゃんとやっていけるのかな?

         次回・第四話。募集キャラ登場!? お楽しみに。