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- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.223 )
- 日時: 2015/10/05 22:40
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第九十話 <波乱のお見合い編>
お、お母さんなの……!?めっちゃ若いんだけどっ。
「し、失礼しました。あまりにもお綺麗でしたので……ってほら、みんなも挨拶ッ!」
エリオット君にうながされ、私たちも慌てて挨拶をする。——ジークは会釈だけだったけど。
「ふふ、礼儀正しいお友達ねぇ。————それで、うちの旦那様……フリン・レオ=コーカーに、用事があるのかしら?」
フリン。———その名を、私も聞いたことがあった。もともとコーカー家は代々続く貴族の家系だ。その中でも有名なため、色々なところで名前を聞いている。
「……うん。あの人は、忙しいから……無理なら、無理と……」
「いいえ。そんなこと言わないはずよ、あの人は。あなたが家にお友達なんて連れてきたと知ったら……!」
そう言うと、エレオノーラさんは目を輝かせた。この反応を見ると、恐らく今までリュネには、友達と呼べる友達はいなかったのだろう。
「そうと決まったら、早速ご案内させていただきますわ。さあ、こちらへどうぞ」
☆
(ねぇなんか、こんなに全部上手くいってていいのかな?なんか不安になってきたよ……)
(いやいやぁ、これからだよお?上手くいかなくなるのは)
(ふあ〜ぁ……何でもいいから早く帰りてー)
客間に通されてから、そんなことを小声でヒソヒソとしゃべる。こうでもしないと、緊張がMAXになって倒れてしまいそうなのだ。
その時、ふいにドアがガチャリとあいた。
「失礼するよ。ほほう、君たちが。うちのリュネットがいつも、お世話になっているようだね」
現れたのは、白い口髭を蓄えた、見た目40〜50代くらいの男性だった。
小太りで、失礼なことを言うととても———エレオノーラさんの夫とは、思えないような風貌だ。
「あっ、こ、こんにちは。こちらこそ、いつもお世話になっております」
私たちは立ち上がり、噛み噛みだったがなんとか自己紹介を終えた。
「それで、私に用事とは。———何せ時間がないものでね、手早くお願いしたい」
フリン公爵は、椅子に座りつつニコニコ顔で手を組んだ。———よし、ここからだ。慎重に……!
———と、いざ口を開こうとするが、言葉が出ない。
……まずい、全部すっぽ抜けた!!
口をパクパクさせる私を見て、誰もがいぶかしげな表情を浮かべる。やばいやばい、何か言わなきゃ……!
「た、単刀直入にお願いいたしますっ。リュネットさんのお見合いを、なんとか中止していただけませんかっ!!」
そしてガンッと、机に頭を打ち付ける。よしっ、これが最大級のへりくだりポーズ……ッ!
シーンと、静まり返る室内。あれ?まずかった、まずかったの?
————————やばい。この雰囲気。顔、上げられない……。
次回、第九十一話。お楽しみに☆