コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.232 )
- 日時: 2015/10/20 23:21
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第九十二話 <波乱のお見合い編>
「こ、これは———、」
なんか、想像していたよりずっと本格的なものがきてしまった……。
私たちが案内されたのは、庭の一角にある地下への隠し扉。
その見た目は何というか、よくファンタジー小説に登場する———そう、「ダンジョン」ってやつに似ていた。
リリアンはテンションが上がりまくっているようで、さっきからキャッキャッとはしゃぎまくっているし、ジークはゴキゲンに鎌の素振りなんてしている。
エリオット君は無言で剣を磨き、リュネは目をつぶって精神統一……
何というか、まったくまとまりがない。まあ、それもそれで楽しいんだけどさ。
「はーいみんな、そろそろ行くよ!準備オーケー?」
元気に「はーい!」と声が返ってくる。ま、気合い入れていきますか!
☆
「うう、暗いね……ジーク、リュネ、ちゃんと照らしててよ」「ったりめーだろ。———あ、でもいきなり消したら面白いかも」
おどけるジークを一喝してから、私は再び前を見据える。前方の闇は暗く深く、ほとんど何も見えない状態だ。そのため今は、ジークが前を、リュネは後ろをそれぞれの魔法で照らしてくれている。
ちなみに並び順は、先頭からジーク、私、エリオット君、リリアン、リュネである。
「ねえ、さっきから何か———音が聞こえない?」
中に入ってから十分ほどたった頃だろうか。突如エリオット君が小さな声でささやいてきた。
「えぇー?もう、怖がらせようったってそうは……て、ホントだ」
疑っていたリリアンも、いやに素直に納得する。よーく耳をすませてみると、確かにわずかだが、キーキーとなにかの鳴き声のようなものが聞こえた。
「はっ、まあ俺にはもっと前から聞こえてたけどね」
ジークはいつもの調子で返したが、途端に表情を険しくする。心なしか、声がどんどん大きくなっているような……
そして私は、この環境下において、もっとも生息しやすそうな生物を思いついてしまった。
「ね、ねえ、ジーク。この声って、もしかして————」
その時。
突然私たちの足元を、黒い波が襲った。
次回、第九十三話。お楽しみに☆