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えっ、今日から私も魔法使い!?【参照3000突破感謝!!】 ( No.241 )
日時: 2015/11/21 01:05
名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)

第九十四話 <波乱のお見合い編>

あれ、なんかだんだん、道が広くなってるような。気のせいかな?

首をかしげていると、ジークと目が合った。「え、何よ」

「気のせいじゃねーよ。……だんだん大きくなってる、この道」
そう言って、真剣な顔で前を見つめる。———こいつ、何かを感じているんだろうか。昔から、感が強かったからなあ。



……ロ、ゴロ、ゴ………ゴロ……



一斉に、全員がはっと息をのんだ。例えるなら、石臼みたいな音———今度は、みんなにも聞こえてるみたい!

「もう〜、次は何ィ〜?」

「しっ。……やっぱり、何か近づいてきてるよっ」

「へっ、さすがコーカー家ってとこか。そう簡単には家宝はくれてやらんと————かはっ、燃えるぜ!」


そのとき。今まで黙っていたリュネが、ふいにその一言を発した。



「————来る」



え、何が。そう聞き返そうと後ろを振り向いた時、私は戦慄することになる。




———わずかに顔をこわばらせたリュネの後方から、巨大な丸岩が迫っていたからだ。


「ひっ……みんな、逃げて!!」


私の言葉に反応したみんなが、一気に走り始める。道が大きくなってたのは、このためだったのかっ。

「もう、ダンジョンに転がる岩とか定番すぎーー!……きゃはっ、体験しちゃったあ♪」

「こらー!!興奮してる場合かっ。まっすぐ前見て……、って」


分かれ道。


目の前に伸びる道は、真っ直ぐ・右・左の三つに分かれていた。


「どうするの、ジーク君!」

「とりあえず三組に分かれて—。このままじゃらちが明かねえ、一グループでも辿り着ければそれでいいっ」

指示を受け、ぱぱっと手近な人とくっつく。結果私とリュネ、リリアンとエリオット君がくっついた。「よし。じゃあ真ん中は俺一人な」

「えっ、でもっ、真ん中は岩が……!」

「ああ?……ハハッ。俺のこと、信じてねえの?」

「———うっ」


もう、急に優しくならないでよ————!


「気を付けるのよ!死んだら許さないから、バーカ!!」

「はいはい、分かったよっと」


———もうすぐ分かれ道に入る。こぶしを握り締め、覚悟を決める。


「————じゃあ、これを」

唐突にリュネが、みんなに何か小さなものを投げた。受け止めると、それは小型のイヤホンだった。


「……無線。なにかあったら連絡……絶対」


「——————、」

私たちはお互いに視線を合わせると、うなずき合った。


そしてそれぞれの道へ一歩、足を踏み出した。


                 次回、第九十五話。お楽しみに☆