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- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照3000突破感謝!!】 ( No.247 )
- 日時: 2015/12/13 22:07
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
第九十六話 <波乱のお見合い編>
「う〜ん、これはちょっとまずいかも」
フィリアたちが消えていったダンジョンの外。一人の少女が宙に浮かんでいた。何やら困ったように眉をひそめている。
「なるべく介入はするなって言われたけど……仕方ない、か」
少女はそうつぶやくと、杖に向かってなにやら念じ始めた。
☆
その少し前。フィリアとリュネットは、今だ何事もなく、ダンジョン内を走っていた。
「————うーん、誰からも連絡が来ないってことは、順調ってことかな。それとももう、連絡できない状態にあるとか……!?」
自分で言ってて恐ろしくなってきて、サアッと顔が青ざめる。
「……大丈夫。ここにはそんなに殺傷能力の高いモノ、なんて……ない、はず……だから」
「な、なんかその言い方怪しいんだけどぉ……」
その時。
『ザ、ザザッ……っち、フィ……ザッ』
って無線!?噂をすればだよッ!!
「はい、こちらフィリア!どうしたの?」
『くっ……あのね、聞いてほしいの。ここには、……ッ、人を襲う化け物がいる、みたい』
はっきりとは聞こえないが、声とともに「ザシュッ」「ビシッ」といった、ムチが叩きつけられるような音が聞こえてくる。
「ちょ、っとリリアン……?大丈夫なの!?それに化け物って」
『暗くて姿は見えないけど、多分ツタみたいな植物……きゃっ!』
「リリアン!」
『……とにかく、いったん出口に戻って。エルちんも、私をかばって……。フィルっち達だけでも、早く!』
「————っ」
普段聞いたことのない、リリアンの切羽詰まった声に、思わず萎縮して声が出なくなっていた。
そんな私の代わりに、リュネットが無線に話しかける。
「……了解。ジークに、この事は?」
『えへへ、ゴメン。……それだけの余裕、もうないみたい』
リリアンの声が、だんだん弱弱しくなっていく。
『早く、地上へ……』
プツッ、ザー、ザー、ザー……
「ちょっと、リリアン……リリアン!?」
暗い洞窟の中に、私の声だけがむなしく響き渡る。途切れた無線は、もう誰の声を伝えることもない。
私たちはただ、呆然とそこに立つことしかできなかった。
一体、何が起こってるの————?
[エリオット、リリアン脱落。残り三人]
次回、第九十七話。お楽しみに☆