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Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.53 )
日時: 2014/10/04 22:17
名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)

第七話

「あ、あの・・・」

「あ?何だテメェ。」

うわ・・・やっぱ怖そう。今更ながら、話しかけたことを後悔する。

リュネットが、興味なさげな顔でゆっくりとこちらを見た。

白髪に金色の瞳、人形のように整った顔。金色のラインが入った白いワンピースの上に、同じく純白のマント。しかしその顔には似合わず、背中には大きな機関銃を背負い、腰には二丁の拳銃が装備してある。

ゴクリと唾を飲み込み、勇気を出して口を開く。

「こ、こんなとこで女の子一人に何してるんですか?」

男たちはその言葉を聞くと、ゲラゲラと笑った。
その中でも茶髪を長く伸ばした男が言った。

「何って?俺たちと一緒に楽しいことしようって誘ってんだよ。・・・俺たちゃ好意で言ってやってんだぜ?なのにこの女、さっきから答えもしねえ。」

すると今度は違う男が、リュネットの左腕をひねり上げた。

「やめて!何してるんですか・・・きゃっ!」

私は必死に飛びついて止めようとしたが、もう一人の男にはね飛ばされてしまった。

「おい、こいつ生意気だぞ。武器も持ってねえくせによお。・・・俺たちが、社会の厳しさを教えてやろうかァ?ギャハハハ!」

「くっ・・・!」

悔しい。なんでこんなやつらに。武器さえあれば・・・!

怒りと不安で涙がにじみそうになる。どうしよう・・・。

           ☆

そんな様子を、リリアンは遠くから見ていた。

「うわわ・・・どうしよう!?助けたいけどなあ、今丸腰だし。かといって先生呼びにいってる間に何かされたりしたら!もーどーすればいいわけ!?・・・ん?」

リリアンが頭を抱えている横を、一人の少年が駆け抜けていった。

「あれは・・・」

           ☆

「俺たちに逆らったことがどんなに愚かか、思い知らせてやる!」

茶髪の男が、拳を振り上げた。

もうだめ・・・!誰か!

そのとき。

「君たち、こんなところで何してるんですか?」

「!!」

誰?・・・あ!?

「エリオット君!」

茶色い髪にライトグリーンの瞳の少年、エリオット・ロジャースが、そこにはいた。腰の両側には、白い鞘におさまったやや短めの剣が、一つずつささっている。

「誰だテメェは。こいつの男か?」

男が、私を指差して言った。

エリオット君は、顔色ひとつ変えずに返す。

「君のような暴力的な人間に、答える義理はありませんね。・・・ところでそこの人、その女の子を放してください。」

「なっ・・・!テメェ、馬鹿にすんのもいい加減にしやがれ!」

怒り狂った茶髪の男が、エリオットに殴りかかる。

「危ない!」

思わず悲鳴のような声が漏れた。

「っ!」

殴られたエリオット君が、吹っ飛ばされて尻もちをついた。

「エリオット君!」

私はエリオット君に駆け寄った。頬から血が出ている。

なんてことを・・・!

男たちはまたゲラゲラと笑った。

「なんだこいつ!大口叩いた割にはメチャクチャ弱ええじゃねえか!なあ、お前ら。」

周りの男たちも、そうだそうだとはやし立てる。

「大変、血が!待ってて、今・・・」

ハンカチを取り出そうとした私の手を、エリオット君が止めた。

「大丈夫・・・だから。」

そういって、わずかに口元を緩めた。笑ったのかもしれない。

エリオット君は立ち上がると、言った。

「先に手を出しましたね?これで、正当防衛です。」

「は?オメェ、弱ええクセに調子乗ってんじゃねえよ。・・・お前ら、やっちまおうぜ!」

男たちが、一斉に襲い掛かった。

「エリオット君!」

でも。

エリオット君は、想像していたよりずっと強かった。

最初の一人の攻撃を軽く頭を逸らしてかわし、次の男の蹴りも交わしながら逆に回し蹴りを叩きつける。
何も考えず突っ込んできた男の懐に飛び込み背負い投げたあと、呆然としている茶髪の男の頬に右ストレートをお見舞いした。

「すっ・・・ごい。」

あっという間に三人の男を倒してしまったエリオット君は、最後にとどめの台詞を投げかけた。

「この程度じゃ、この剣を使うまでもありませんね。」

あきらかにショックを受けた様子の男たちは、「覚えてやがれ!」とお決まりの台詞を吐いて逃げていった。

「あの、助けてくれてありがとう、エリオット君。・・・エリオット君?」

「こ、怖かったあ!」

・・・・・・へ?

エリオット君の口から飛び出した意外な言葉に、私はあっけにとられた。

「じ、実戦なんて初めてだったし、どうなることかと・・・あっ、ごめんね!大丈夫だった?」

「う、うん・・・」

なんか残念な子だなあ。・・・あれ?

いつのまにか、リュネットの姿は消えていた。

                   次回、第八話。お楽しみに。