コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.84 )
日時: 2014/10/29 16:38
名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)

第十五話

リーダーに捕まったハクが、目で「ジークさんごめんなさい〜」と訴えているのが分かった。…いや、ただ単に焦っている訳でもなさそうな目つきだったのが気になったのだが。
メンドクサいことになったと思っていたのだが、ハク人質事件は意外とあっさり解決した。

「ジークさんに迷惑は掛けられないッス。……なめないでほしいッス!!」

そう言うとハクはいきなり、頭を後ろに勢いよく振って、後頭部でリーダーの顔面を打った。

勝利を確信し油断しきっていたリーダーは、突然の反撃に「うっ!?」
とうめいてハクから離れる。

「やったッス!」

解放されたハクは、腕を一振りした。

すると1m以上はある巨大ハンマーが、ハクの手の中に出現した。彼も小柄なので、巨大なハンマーがさらに巨大に見えてしまうらしかった。

「おお、お前結構機転利くじゃん。」

思わずほめると、ハクの顔がこれでもかというほどほころんだ。
なるほど、後輩というのも悪くないかもしれないな。…まあ今回は、こいつに花を持たせてやろう。

「おいハク。お前の必殺技、俺に見せてみろ。まあこいつら程度に本気出すこともねえからさ、三分の一くらいで。」

「了解したッス!」

会話を聞いていたディックとアベルは、いよいよ憤慨して真っ赤になった。

「そうやって調子に乗っていられるのも今のうちだからな!いくぞアベル!」

「分かってる!」

そういうと、アベルは太くて長いツタを、リーダーはかまいたちを放ってきた。

ハクは舌なめずりをし、

「行きますッス!…『ロック・オブ・クラッシャー』!!」

重そうなハンマーを勢いよく振り下ろした。

直後、直径3メートルはあろうかという巨大な岩がハクの頭上に現れる。
そして一瞬のうちに砕けて大量の鋭利な刃物へと変貌し、リーダーたちめがけて襲い掛かった。

鋭利なナイフに変わった岩の破片たちは、太いツタもかまいたちも切り裂いて、二人を目指す。

「「う、うわあああああ!!」」

二人は情けない悲鳴を上げて逃げようとしたが間に合わず、岩の破片に貫かれ、そして消えた。

「ははーん、今ので三分の一とは…負けてらんねえなあ、こりゃ。」

戦闘を終えてホッとしたように走りよってきたハクは、「ホメてオーラ」を全開に出し、キラキラと瞳を輝かせていた。

「……よくやったな。」

そう言いながら頭をポンポンと叩いてやると、ハクはうれしそうに「えへへ」と笑った。

……。

ここで同時に、二人の頭に一つの疑問が浮かんだ。

今さっき自分たちが戦っていた敵は、「四人」だったはず。

では、残りの一人は一体どこに消えたのか?

と、疑問を浮かべる二人の後ろから。

「…皆さん、早々とどこへ行ってしまったのでしょう。はあ、無駄な運動は嫌いなのですが…。」

ジークにとっては二番目くらいに会いたくない人物の声が聞こえた。

「ハク、早く二人と合流するぞ。…行こう」

「?は、はいッス」

歩き出そうとした二人を、

「おや、そこにいるのはジークくんですか?」

うっわ、ヤッベ…!!

「どうやら、戦闘開始のようですね。」

…にこやかな笑みを浮かべた、カイル・マクディーンが引き止めた。

                  次回、第十六話。お楽しみに。