コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.90 )
- 日時: 2014/11/04 23:15
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
第十九話 <対抗戦編>
三人の戦いぶりをほけーっと見ていた私に、リリアンの声が飛んだ。
「フィルっち〜?ほらほら、ジーク君を助けてあげてぇ。ロゼッタちゃんとカイル君は、私とハクにまかせてさー☆」
リリアンはそう言ってウインクすると、「え!?僕はジーク先輩の援護を…」などともにゃもにゃ言っているハク君を引きずって行ってしまった。
…何だったんだろ?
まあ、いいや。
あんな実力者二人に私がかなうか分からないけど、精一杯やってみよう!
☆
キャンディとプランスを二人に任せたリリアンは、ハクとともにロゼッタ、カイルと向かい合っていた。
「やーやー、お二人さん!君達の相手はあ、このあたしとハクですよお。覚悟お〜っ☆」
「ははっ、お手柔らかに。」
「よ、よよろしくお願い、しますっ…!」
「僕はジーク先輩と戦いたかったのに…」
それぞれがそれぞれの宣戦布告をした後、リリアンが指揮棒を構えながら言った。「それではあ〜、スタァートッッ!!」
手始めにリリアンの音の衝撃波が二人を襲ったが、カイルの水の防護壁により防がれた。
「大丈夫ですか?ロゼッタさん。」
カイルが優しくほほえむ。
「は、はい!…ありがとうございますっ」
それに少し赤面してロゼッタ。この緊張感の無さは何なのだろうか?
「わ、私も…!」
「お?何だ何だあ?…来るよハク、構えといて☆」
手に持っていた本を掲げたロゼッタを見て、リリアンがハクに注意をうながす。
ぶすっとむくれたハクも、「分かってますよ」といつの間にか出したハンマーを構えて呟いた。
「…気高き風の守護者よ、雄雄しき天空の守り神よ。ロゼッタ=シャルロッドが命ずる。今ここに姿を現し、敵を貫く矛となれ!」
呪文の詠唱とともに、水平に掲げられた本がパラパラとめくれ、やがてあるページで止まってまばゆい光がロゼッタを包んだ。
「…出でよ、『風魔』、『雷魔』!」
「おおおー!!」
リリアンの歓声が、精霊出現により生じた爆風でかき消された。
そして、砂煙のなかに黒い影が二つ。
「やっほう嬢ちゃん、呼んだかい?おおっ、今度の敵はこいつらかい!」
「…こいつら呼ばわりは失礼だぞ、風魔。こんにちは、みなさん。」
現れたのは、(見た目は)二人の青年(に見える)だった。
「…え、この人たちが精霊?」
ハクが不思議そうに呟いたのも無理はない。今自分達の目の前にいるのは、なんとも緊張感の無い優男二人組だったのだから。
風魔と呼ばれたほうは短髪で、鉢巻を頭の周りに巻いている。なんとなく江戸っ子っぽい喋り方だ。
雷魔のほうは肩くらいまでの長髪で、落ち着いた雰囲気の好青年という感じだった。
「うーん、なんか着てるものはそれっぽいんだけどなあ〜。なーんかこう、もっと厳格なのをイメージしてたっていうかあ〜。」
リリアンの発言を耳ざとく聞きつけて、風魔がぎゃいぎゃいと喚きたてる。
「おい、そこのピンク髪!なにぬかしやがんでぇ、これじゃ不満だってのかい!」
「まあまあ、落ち着けよ風魔。そこのお嬢さんも悪気があったわけでは…」
「あっ…ええと、喧嘩しないでえ…」
「ほう、上級精霊二体とは。なかなかやりますねえ」
……。
なんだ、この状況。
ただ一人残されたハクは、この場ではいつの間にか自分がツッコミ役にまわってしまったことに愕然としていた。
「はあ、向こうに行きたいッス…」
次回、第二十話。お楽しみに。