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Re: ジャムのように甘く優しい恋物語 ( No.29 )
日時: 2014/10/02 11:01
名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)

フレンチside

屋外に上がって、外の景色を眺めながら、僕はジュースを飲む。
屋外に上がっちゃいけないってことは、学校のルールで知らされているから、もちろん僕は知っているけれど、僕にはそんなこと関係なかった。

見つかって、怒られてもいい。

ただ、僕は屋上で気持ちのいい空気を吸いながら、自分の存在意義について考えたいんだ。

僕から可愛さをとったら、いったい何が残るのだろう?

もしかすると、何も残らないのではないだろうか—そんな恐怖が僕を襲う。
背筋がヒヤリと冷たくなる感覚を覚え、ふと、視線が下に移る。
ここから下まで軽く10メートルはある。ここから落ちたら、僕は死んでしまう。もし、背後から僕を誰かが突き飛ばしたら、僕は落下防止用のフェンスを飛び越えて、外に放り出され、そのまま落下して—

嫌だ、そんなこと、考えたくもないっ!

自分の考えが恐ろしくなり、フェンスから1、2歩後ずさりをする。
するとそのとき、後ろのドアが開いて、誰かが僕に歩みよってくるのを感じた。

「おいおい、こんなところで、自殺なんかされちまったら、第1発見者になる俺が困るじゃねぇか」

振り返ると、そこには先ほど僕の可愛さに難癖をつけた徹先輩がいた。

「どうして、僕がここにいるとわかったんですか?」
「…そんなこと、どうだっていいじゃねぇか。今わかっていることは、お前はここから飛び降りようとしたが、怖くてできなくなり、尻餅をついたところを、俺に発見されたってわけだ」
「……」
「フレンチ、俺は先ほど『生き様を見せろ』と言ったはずだぜ…それなのに死に様を見せられたら、たまったもんじゃねぇな」
「自分の—存在意義がわからないんです」

なぜだろうか。このとき、僕は憎んでいるはずの先輩に自分の胸の内を打ち明けた。

「—そうか」

彼は夕日を背景にして仁王立ちになり、口を開いた。

「ならば、お前の存在意義ってやつを見つける手伝いをしてやるか。
俺にいい案がある」

そして彼が僕の耳元で囁いた内容は、驚きのものだった。