コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ジャムのように甘く優しい恋物語 ( No.31 )
- 日時: 2014/10/02 21:25
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ラグside
玄関のインターホンが鳴りましたので、僕が応対に出てみますと、そこに立っていたのは、金髪のおかっぱが特徴の美しい男の子でした。
彼の周りからは、まるで太陽のような光り輝くオーラが発せられており、長く見続けていると、僕の目が潰れてしまいそうです。
「突然お邪魔してすみません。僕は、ハニーさんと同じ学年のアップル=ガブリエルと言います。今日、ハニーさんに不注意からぶつかってしまって、お詫びをしようかと思い、タルトを持ってきました」
彼は、キラキラと輝くまさに天使のスマイルとでも言うべき、非常に優しく、それでいて可愛らしい笑顔で、僕にタルトが入っていると思しき箱を渡します。
「どうも、アップル様、ありがとうございます。お心遣い感謝します」
僕は微笑みを浮かべ、箱を受け取り、彼を見送り、彼が完全にいなくなったのを確認して、急いでドアを閉めて、ズルズルとドアにもたれかかりました。
もし、今の彼が学校で親しいとしたら…ここ数日でのお嬢様の様子から想像するに、もしかすると彼と仲がいいのかもしれません。
つまり、先ほどのアップル様は、僕にとっては、超強力な恋のライバルと言うことになるわけです。
取りあえず僕は、彼の持ってきたタルトをご主人様とお嬢様と一緒に食べることにしました。
僕は普段は電気で充電していただいていますが、食べ物を体内エネルギーに変えて動くこともできますので、食べる分には問題ないのですが—果たして、彼が作ったと言うタルトのお味は、一体どんなものでしょうか。
恐る恐る、口へ運んで一口かじってみますと、そのあまりの美味しさに涙が次々に毀れはじめました。
サクッと噛みますと香ばしい苺のキャラメルと苺のクリームの、優しくも甘酸っぱい味が口いっぱいに広がって…なんて美味しいタルトでしょう!
涙で潤んでよく見えないのですが、お嬢様もご主人様も泣いているようです。
「このタルト=タタン、本当に美味しいです……!」
「私も、これほど美味しいタルトは人生で初めてだ。作った子の真心がこもっている」
「すごく美味しいよぉ〜」
料理は人の心を現すと言いますが、すると彼の心はどれほど澄み切っているのでしょうか。
そして僕は、こんなにも素晴らしいタルトを作れる、外見だけではなく心もとても綺麗な人がライバルだと言うことに、ショックを隠しきれませんでした。
彼がライバルだと言うことが、僕の思い過ごしだといいのですが……