コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ジャムのように甘く優しい恋物語【番外編募集!】 ( No.67 )
- 日時: 2014/10/14 13:28
- 名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)
番外編
この日、僕とアップルくんとフレンチくんの3人は、街中でブラブラと歩きながら、ウィンドウショッピングを楽しんでいた。
たくさん歩いて疲れてきたのと、お昼が近いということで、僕たちはランチを取ることにした。
「何食べようか?」
アップルくんに訊ねると、彼は笑顔で、
「僕はトンカツが食べたいなぁ」
「トンカツかぁ…いいねぇ!じゃあ、トンカツに—」
ふと、フレンチくんを見てみると、彼は思いっきり沈んだ顔をしていた。先ほどまで嬉しそうにウィンドウショッピングをしていたのに…もしかすると、体調があまりよくないのかもしれない。
僕たちが彼の顔を覗き込むと、彼は少し冷や汗を浮かべながらも笑顔で、
「いいね、トンカツ。僕も大賛成だよ」
「よかった。じゃあ、トンカツ屋さんを見つけないとね」
☆
意外にもトンカツ屋さんはほんの数分で見つかり、まだ時間が少し早いため空いており、僕たちはテーブル席に座ることができた。
待ち時間が長くかからなかったことを喜びつつ、早速メニュー表を見つめる。幸いなことに、お金はたっぷりあるだけでなく、お値段もお手頃だから、フレンチくんとアップルくんはお腹いっぱい食べられそうだ。痩せの大食いで、早食い大食いコンテスト優勝者の僕には、全メニュー注文しても足りないけれど…
メニューを一通り眺めた末に、僕とアップルくんはトンカツ定食を注文することにしたけれど、フレンチくんはエビフライ定食を注文することにした。
それにしても、先ほどからフレンチくんの様子がどうもおかしい。
少し顔が青ざめ、口数が少なくなっている。心なしかなんだか悲しそうに見えるけれど、どうしてだろうか。
そんなことを考えていると、僕たちの注文した料理が来た。
「いただきま〜す♪」
早速美味しく食べようかと思ったその時、信じられないことに、フレンチくんが号泣し始めた。
そんなにエビフライ定食が美味しかったんだろうか。
僕は彼の許可を得て、エビフライを掴み、口へ運ぶ。
サクサクとした衣とジューシーなエビがとても美味しいとは思うけれど、泣くほど美味しいかと言われると、疑問に思う。
取りあえず、エビフライを完食し、全部のみ込んだ後、口を開いた。
「ねぇ、フレンチくん、どうして泣いているの?」
彼はアップルくんに差し出されたハンカチを受け取り涙を拭くと、
「僕、豚肉アレルギーなんだ。だから、きみたちが食べているのが羨ましくて」
ああ、そうだったのか。だからさっき元気がなかったんだ。でも、僕たちが悲しむといけないから行きたくないのを我慢して無理に……
知らず知らずのうちに、彼の胸の内を読んだ僕は、いつの間にか視界が涙で潤み、彼とアップルくんの顔がよく見えなくなっていた。
アップルくんは少なくともハンカチを3枚以上隠し持っているのだろうか、僕にリンゴの刺繍のついたハンカチを渡すと、自分ももう1枚のハンカチで涙を拭く。
「ごめんね、フレンチくん…僕、トンカツ大好きだから、きみも好きだろうと思ったけど、違ったんだね。無理して連れて来てごめんね」
何度も何度も謝る彼に、泣き止んで笑顔を見せたフレンチくんが一言。
「早く食べないと、冷めてしまうよ。熱いうちに、美味しく食べちゃおう」
「…そうだね、フレンチくん」
「じゃあ、食べようか」
この日の昼食は忘れられない思い出の一ページになり、僕たちの友情の絆はますます強く固いものになった。