コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ジャムのように甘く優しい恋物語【番外編募集!】 ( No.81 )
- 日時: 2014/10/16 11:04
- 名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)
フロイside
僕はバカアニキの反対を押し切って、アニキの通っている学校へ登校することにした。
もちろん、変装に抜かりはない。胸だって晒を巻いて抑えてあるし、問題はないだろう。それに、アニキは学校でも女の子扱いされているわけだから、もし万が一入れ替わったことがばれた場合は、「実は女だった」って言えばいい。もっとも、そのあとで少々の騒ぎにはなるとは思うけれど、人のうわさも七十五日なんていう諺もあるぐらいだから、多分みんなすぐに忘れるはずだ。
それにしても、学校に行くことができるのは、願ってもないチャンスだった。なぜなら、ボクは普段、家庭教師の先生に教えてもらっているため、学校へ行く機会がこれまでなかった。
だから一度は行ってみたいと前々から思っていたのだ。
そんなことを考えながら歩いていると、チョココロネのような髪型が特徴の女の子が前を歩いているのを発見した。
確かあの子は、美雪ちゃんって名前だったはずだ。
僕は彼女に近づいて行って、肩をポーンと叩いて挨拶をした。
「おはよう、美雪ちゃん!」
「ヨハネスくん!?お…おはよう…」
彼女はちょっと驚いたような顔をしていた。おかしいな。
アニキは一体女の子に対してどういう態度を取っているんだろう。
「どうかしたの?」
「ううん。なんでもないよ。ただ…ヨハネスくんがいつもは『美雪さん』って呼ぶのに、今日は『美雪ちゃん』なんて呼ぶからちょっと照れるなって思っちゃって……」
「ちょっと呼び方を変えてみようかと思ってね。それとも、この呼び方、あまり好きじゃない?」
「ううん。これからは『美雪ちゃん』って呼んで!」
彼女は満面の笑みでボクに微笑みかける。
へえ、アニキはこんな可愛い子と仲良くしてるんだ。なんか意外…
☆
彼女と一緒に教室へ入ると、金髪碧眼の女の子がボクに向かって、
「ちーっす!ヨハネスくん、おはよう♪」
朝から「ちーっす」って挨拶はどうなんだろうかと思いつつも、ボクは笑顔でそれに応じる。
すると無言がいけなかったのだろうか、彼女は少し落ち込んだ顔で、
「もしかして、今の挨拶可愛くなかったの……?」
「あ…いや、とっても可愛かったよ」
慌てて手を振って笑顔で誤魔化すと、彼女の顔がお日様みたいにぱあっと明るくなる。
「よかった〜。今ハマっているサッカーのアニメでヒロインの女の子がね、初めてあった人に対して『ちーっす!』って挨拶するんだよ。それがね、とっても可愛くて、パパもその子のことが大好きでね、真似してみたら喜んでくれて…」
……もしかして、この子がアニキがよく話題に出すハニーって子なんだろうか。普段はおとなしい子らしいけど、アニメや特撮のことになると話が止まらないって、言ってたっけ。
「あっ、そうだ!」
突然彼女は手を叩いて、口を開いた。
「そういえば、今日はまだハニーじゃんけん、やってなかったね!」
は、ハニーじゃんけん!?
「いっくよー!私に勝つと、ラッキーな1日になれる、ハニーじゃんけん、じゃんけんポン♪」
ちょ、ちょっと待って。ハニーじゃんけんって何!?