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Re: ムニキス【オリキャラ募集】 ( No.14 )
日時: 2014/11/23 09:45
名前: 捨駒 (ID: tuakPBCn)




「俺、まだ酒池肉林は味わってないんだから!抜くんじゃねーよ!うわァァ!」
「そうかい、そうかい。」

鍋を食べるタカトラをアークはまじまじと見つめていた。見つめるアークに箸を向け、先端を鍋の方に向けてから親指を上にあげた。

「うまいぞ。」

ゴーグルの上からでも微笑んだ事がはっきりと分かった。口元だけを見ていれば若く見えるのだが、長い白髪と見るとトシゾウよりも年上に見える。
自分よりも遥かに年上なのは分かったが、横に横たわっている女がどこかで見たことのあるような女だったが誰なのか思い出せない。

「…どうした?コウ。」

小さく唸ったコウにアークは声をかけた。

「コウが悩んでいるなら俺も共に悩もう。」
「いいよ…すぐに思い出せるから。」

そうかと呟きアークは自分の持っていた鎌に目をおとした。コウもその鎌を見ると悲しそうに微笑み口を開いた。

「…俺には記憶がない。だが、たまにこの鎌を見ると…少しだけ楽になれる気がする。思い出せやしないのにな。安心するんだ。」

コウは少しだけだが痛む頭で必死に思い出す。

自分が十のころ、馬小屋で餌を与えているとき先輩のお祖父さんから聞いた。五年ほど前に近隣の王族が壊滅したと。紋章の着いた鎌、黒い鎧、記憶が正しければその時後継者であった皇子が盗んだものがそれだったはずだ。

年が少ししか違うのに随分と大変な人生を送ってきた物だとコウは思った。しかし、なぜこの時にこの話を思い出したのかは全く分からなかった。

「…ふーン…お前、記憶が無いのカ…」
「レオンさんには関係無い。でも、俺にはこういう軍隊に入るのが性に合う気がする。」

心の拠り所を見付けられたアークを嬉しそうに見つめていた。

「おいガキンチョ、」
「なんですかー?」

笑いながらふにゃふにゃとした焦げ臭い物を口にいれた。

「…お前さ、木の皮とか食べるんだな…正直引くわ…」
「えっ!?うわっ!これ、ミミズいる!ミミズ!!」

慌てて木を投げ捨て横に寝ていた女の上で尻餅をついた。そのとたん、女は起き上がり叫びながらコウを蹴る。

「う…うそだ…」

「ははは…コウは面白いな。俺の記憶と共に運を探しにいってやりたいよ…」

女の悲鳴が森の木々を揺らした。