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- Re: ムニキス【オリキャラ募集】 ( No.17 )
- 日時: 2015/01/23 23:25
- 名前: はるたろう (ID: 1T0V/L.3)
皆が寝静まった頃、タカトラはテントのドアを開けた。
「…あ、起きてた。ところで、どう?」
「ああ。状況は改善しねえ。俺ら国家の軍隊だけではいかんのよ。」
「王族に頼れってか。やめろよ。冗談キツいぜェ〜。」
「その通りよ。我らが王族に支えし最強の軍隊に頼れば、ムニキスなんてすぐに木っ端微塵よ。」
「……本当はァ?」
「アンリを返してほしい。」
「イエスだ。それでよいのだよ。」
「げっ!話をしてたらやっぱり来るのかよ…」
気取っている男はド派手な装備に身を固め、周囲が暗いせいか余計に目立つ。長い髪を掻き上げて鼻でトシゾウ達を笑った。
男の後ろからの声にタカトラは目を見張った。
まだ十歳にも満たない子供が君の悪い笑みを浮かべて笑っているのだ。子供は男によじ登り肩に座るとタカトラを指差した。
「我はイエス。貴様の名は?」
と、得意気に微笑みながら話すイエスという子供。
一方トシゾウはその子供が余程癪に障ったのか、いつ刀を抜いてもおかしくない常態に陥っている。
「タカトラだ。こっちはトシゾウ。」
「タカトラに、トシゾウ。真逆、我等と対等の組織とは思うまいな?」
すっかり黙り混んだ男の上でイエスはタカトラに言った。
この世界では王族に支える軍隊、国家に支え機密軍隊が存在する。国には一つ王族が存在するのだが、軍を持つ王族と軍を持たない王族がいる為、持たない国は国家が機密で軍隊を持つのであった。
その初代総督がトシゾウの血統の者である。トシゾウの血統の者は代々国家の部隊を支えてきた。
自分の親父が支えてきた物を侮辱されたも当然である。
トシゾウは落ち着いた様子で声を出した。
「…お言葉だが、お坊っちゃんに俺らの苦労は分からねえだろうよ。」
「ほう。我をお坊っちゃんと。」
「ああ、坊っちゃんだな。俺らはムニキスが起こった後、資金も何もない中でこの国の豊かな資源を護ってきた。お前らみたいにムニキスが起ころうとも起こらないも、金持ちな奴等とは苦労の量が違う。」
全てを話終わったトシゾウは脹ら脛の短刀を握りしめイエスを睨んでいた。
——これは相当頭に来てるな…
タカトラが思ったのも束の間、身の危険を感じたのか、男が一歩後退りをした。
「…ガブ、こいつはどうも我等と手を組みそうにない。そして、お前の妹も返してはくれなさそうだ。」
「分かっております。しかし、ここは一旦帰りましょう。」
そう言い残し、二人はその場から瞬きをした間に消え去った。
「…相手は術師かよ…めんどくせーな…」
「今日は寝るぞ。コウ達には黙っておこう。」
月の光が男の落とした黒い羽を照らし続けていた。