コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ムニキス ( No.27 )
- 日時: 2015/01/27 17:59
- 名前: 捨駒 (ID: aVnYacR3)
テントの中で唸る声が聞こえた。
アンリが慌てて駆けつけると、肩で息をするトシゾウが死にそうな顔でアンリの方を見た。
「う…魘されていましたよ…?」
「ああ、そうか…そうかよ…」
横の水筒の水を飲み、またトシゾウは項垂れて動かなくなった。
凄い汗だ。アンリはそっと、タオルを首にかけた。
「…トシゾウ指揮官、無理はなさらないよう。」
眼鏡を押し上げ、またテントの外へと出ていった。
「俺の意思で人を殺したのは…後先、一度しかない。」
後を追いかける四人に、タカトラは言った。
いつもと違う。煙管を吹かす横顔に、何か裏があるのかと、レオンは考える。
この前も、リンを送ったときも、壊滅した村を見た時は必ずといっていいほど、あの薄汚れたゴーグルを着けて、煙管を吹かすのである。
落ち着くのだろうか。分からない。
「…どうした?レオン。」
「いやネ…タカトラサンが妙だナって…ヨ。」
「そうか。」
アークが短く返事を返す。
それにしてもだ、市場の中を歩くタカトラにすれ違う人々全てが上を見上げては、驚いてみたり、付き添いを小突いてヒソヒソと話してみたり、兎に角目立つ。
確かに、彼の名は有名だ。でも姿形を見たことのある一般の民はいないはず。
それはきっと彼の醸し出す異様な雰囲気によるものであると、レオンは独自の解釈をした。
ボサボサながらも、美しい色合いの白髪は確かに目を見張って当然だ。
「いーや、血生臭いからよ。私もそれで気付いたし。」
「そうですかね?僕は、手の甲の紋章に目がいきますけど…?」
コウが女に言うと、女はやれやれと言わんばかりに首を横に振り、口を開いた。
「それはアンタの身長が小っさいからでしょ。」
「…ほら、見てください。町人の方々の目線が調度タカトラさんの手の甲にいきませんか?」
耳を欹てていたレオンとアークはコウの話に小さく頷く。