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Re: ムニキス ( No.31 )
日時: 2015/01/29 19:16
名前: 捨駒 (ID: v8ApgZI3)




怖くなって瞼を閉じると、暗くなって怖い。
眠たくなって寝ようとすると、なんだか胸が騒ぐ。

あの月のように白くなってしまった己の毛髪に、これから先起きないであろう兄弟の血を塗り、あの頃の黒さを戻そうとした。

ふと、思い出す。

ある日であった。
己の耳元で何か、暗い闇が囁く。

——名前が無いのだろう?

俺は……であった。
出来損ないの兄に代わってつけられた。

でも、サダメというものは時には残酷で、やはり兄が……になる。
俺はそれが悔しくて、泣いていた。

——なら、名前が無いのも当然だ。

違う。

——兄に名をとられるトハナ…

違う。

——血を使え。さもなくば、父の様には強くなれない。

己の肉体、血液、細胞、何もかもがその時騒いだ。
限界を越えられる気がして、全てを壊す。

思い通りにならないのなら、自ら変えていくのみ。

死にたくなければ、戦わなければならない。



その誇り高き血統、いつまでも絶やすこと無く。