コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ムニキス ( No.34 )
- 日時: 2015/02/06 20:56
- 名前: 捨駒 (ID: CVGC9rYr)
——見えた…
「チョコ齧ってる暇があったら…タタッキレ…と、な。」
大剣に話し掛ける少年の姿はあまりにもおかしい物である。
手についたチョコを、大剣の切れる所に這わせてはニヤリと笑んだ。
アンティーク調の双眼鏡のレンズを外し、古びた袋に入れてコウの首を引っ掻く真似をする。
「待ってろよォ…姉ちゃんに首持ってってやるんらからなァ…」
呂律の回らない舌を手に近づけ、軽くキスをした。
アンリは何かが来ることを悟った。
確信では無いが、拠点を移す準備を整わせた隙だらけの自分達を狙うはず。
タカトラか、あるいはトシゾウ、コウ、レオン、アーク…女達まで容赦なく消すムニキスをどう彼等に伝えるか。
——嗚呼…前の時もこうだった。
——コウが現れた二日前、隣国でのムニキスが起こった二日前も…
力が無い己をどれだけ恨んだらいいのか。
血が出るほど己の手を握り締める。小指を立てて紅茶を啜る、少々は鼻につくコウを睨み付けた。
何かが違う。コウだけは守り通したい。
「…コウさん…少しお時間を。」
「?なんですか?」
「…信じなくとも…ええい!どちらでもいい!!避けて!」
「ハァッ?!って、うわっ!!」
アンリの蹴りに耐えきれず木箱の椅子は音を立てて崩れ落ちる。
「ッ?!どうした!アンリ!!」
「タカトラ様。隠し通しておりました。…次は左です!説明してる暇はありません。避けてください!」
所々冷静に考えつつ遠くを見つめる。
——見つけた!
——あの反射するレンズ…
「リン様!あの光をエメラルド…なんやらです!」
「そおい!どっこらショットォオ!!」
レンズが粉々になるのが肉眼で確認できると、アンリはため息をつき、後ろを振り返る。
「馬鹿だねェ、実に馬鹿だよォ!!姉ちゃんのオヤツはお前にしてやんよォオ!!!」
頬のトランプのダイヤの刺青。
金髪の髪、誰もが認める絶世の美少年の容姿。
彼こそがまさしく、
「キラル…別名『光の暗躍者』…」
「せーかいだよ。…眼鏡サン。」