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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ムニキス ( No.37 )
- 日時: 2015/02/08 21:06
- 名前: はるたろう (ID: AxfLwmKD)
路地裏を抜けていくと確か道があった。
そこの道からは美味しいパンの香りがしたのを覚えていた。
「…ん?なんだろ…暗くて見えないけど…」
臭いだけにつられて、アーモンドの臭いだと確信した時にはその扉を開けていた。
「あれ…?あっ!初めてのお客様だよ!!」
「へ?」
「いきてこれたんだね!」
「は、はぁ、まあ。」
ニコニコと微笑んで、楽しそうに沢山のパンを机の上に並べた。無造作に置かれた小麦粉の上には調理器具が置かれている。
「………」
「あれ?食べないの?」
ここはどこだ…
よし、落ち着こう。それから瞼を開く。
確かめるように瞼を開き、指を右から左へ折っていく。
そして、冷たい石造りの床に手を置いた。
ぬるっとした気色の悪い液体に手をつけてしまった事に少々怒りを覚えつつも、鉄格子の窓から入る暖かい光に朝だと確信した。
「…血だわ…これ。」
「やっ!やめて!やめてよ!…うるせえ!黙ってお前は俺に体を貸しやがれ!」
昨晩の男が、声を荒げて何やら独り言を言っている。
気味が悪い村に気味が悪い住人…早くここから出たいという願望を、より強く抱いた。
「……声がやんだ…」
恐ろしくなって、全身の毛が逆立った。
おかしい。
私が恐怖に蹴落とされるなんて…おかしい。
女はそう思いつつ、至って冷静に胸を見た。
有刺鉄線は取られているが、細かい針は取られていない。ハサミはギリギリホットパンツの中だったのでバレはしなかった。
しかし、女の胸を見るなんてなんて野郎だ。と、思ったことは墓場まで持っていこう。
——さあて…女のシンボル見やがったんだ…大事なところ引っこ抜いてやる…
とか、下品なことを思ったことは覚えていない。
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