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Re: ヘンケイ ( No.7 )
日時: 2014/11/04 10:12
名前: はるたろう (ID: MXjP8emX)

ぅおい!!任せろィ!!(cv.石野竜三)





放牧民であった彼の愛せるものは、言葉を交わせない草木や動物たちであった。走っても三十分。彼が手伝いをしているパン屋からの時間である。話をしたくないと言い、裏でパンを作っているがその仕事は大変でありあまり好きになれるものではない。

裕福とは言えなかった家庭だ。鋭い音を立て勝手に開くドアを蹴り破ると裏に回り薪を集めにいった。周りにあまり人は住んでは居なく、住んでいたとしても人からはあまり好かれはしなかった。なんせ運が悪く、黒猫同然の扱いを受けているのだ。

斧を持ち、小柄な体で目一杯腕を降り下ろした。その瞬間だ。
薪を割る音とは違い、銃を撃ったような音。身の危険を感じたのか羽を休めていた鳥たちは羽ばたき、男の舌打ちが聞こえた。

「…あ…わわ…ヤバイっ!」

腰を抜かしたのか千鳥足でその場を去った。早く走ろうと限界まで体力を使い、家に向かった。鍵を何重にも閉め、薄い白い布に震える体を隠した。

「どうしよう…どうしよう…死んじゃうのか…?」

ガチガチ震える体が治まらず、とうとう男の足音は家ノ前まで来た。銃がカチャカチャと動く音が鼓動を倍速させ止まらない。
短い間だったが我ながら平穏な人生だったと頭の中で走馬灯が走った。

「……あれ…?音がしない…」

足音がやみ、小さな窓を覗いた。確かに、人は立っていない。するすると力が抜けてその場に足を床にくっつけた。

「ふぅ…ん?」

「みぃつけた…」





この一瞬の出来事で、国は変形を遂げた。北斗の拳を知っている方はあの古びた町を思い出してくれればいい。町には食料に餓えた者が集まり、人は争いあい一人の男の元で働くのだった。北斗の拳よりも治安は悪い。
機関銃を持った男。そいつが運悪くも国を守っている石の近くの森を狙って壊したのである。

たった一つの人類のオアシスを一人の男が壊滅へと導いたのであった。

この国を守った軍はオアシスを己が物にする近隣の国々と戦う最強の軍隊だったが、今となれば金のかかる者にすぎない。さすれば更に治安は悪くなる一方だった。

「やっべーよな…トシさんが火を噴くぜ…」

汚い痩せた金髪の男が呟いた。

彼の腕にはこの王国の紋が刻み込まれその腕には小さな拳銃が握られていた。護身用なのか、変わった刻印が。

「俺様、困るぜ。怒られるのはゴメンだ。」

その場を立ち去ろうと男は登っていた残骸から飛び降りる。
着地を決めると下を見る。何か黒いものが埋まっていた。

「…これか?こいつが壊した奴か?」

襟元を掴み男は引きずりながら少年を連れ去った。



おらよっ!(cv.石野竜三)