コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第1章【あなたと】 1話 №1 ( No.4 )
- 日時: 2014/10/22 20:30
- 名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: SW6tVdsd)
*〜* 1話 *〜*
12月1日。虫の鳴き声は既に無く、雪が降るわけでもない。太陽は薄い雲に隠れ、人々は、コートを羽織り、マフラーを巻き、下を見つめて歩く。
何処かから、音楽が流れる。メリークリスマス。さあ貴方から……
「サンタクロースイズカムイン……トゥータウン。だっけ。」
朝の7時前ということで、人はまばらだが、さすがは国の中心部。ここ東京はやはり、いつでも人が多い。春なら桜が綺麗な、この並木道も、今は葉も無く、茶色い幹が良く目立つ。
大学生活も、2年目が終えようとするこの頃。友達は沢山出来たが、男友達は……少ない。というより、いない。
「あ、花凛じゃん。おはよーう。」
反対側の遊歩道から声を掛けてきたのは、隣のクラスの、鈴木 美香子ちゃん。通称みかちゃんだ。私達2人は、自分で言うのはアレだが結構仲が良く、放課後にいつも遊んでいる。が、最近みかちゃんに彼氏ができたらしく、会う回数が減ってきている。
「なんか久しぶり! 今そっち行くね。」
と、言い放ち、車の通りの少ない時を見計らって、向こう側までダッシュという女子大生らしからぬ姿を見せる私。道路を仕切る低木みたいなのは、ジャンプして飛び越えた。
「もうさぁ。危ないよ。そこに横断歩道あるから。」
そう言って少し先を指差す。そこだけ低木が無くて、白い線が引かれている。よくある横断歩道に気付かなかったのは秘密だ。
そういえばさっきから彼氏さんがいない。行きはいつも一緒に居たと思ったが。
この、並木道を真っ直ぐ進めば、私達の大学が見えてくる。都内でも、なかなか良い方の頭の良さで、私はいつも自慢している。と、言っても、私は受験をして入学したわけではなく、AO入試というので、無事入学をすることができたのだ。AO入試のことを話すと少し長くなるが、まあ、スポーツ推薦と同じように捉えてもらえれば、と思う。
「花凛。そういえば、私彼氏と別れたんだ。」
一瞬辺りの時が止まる。それは、突然の告白だった。少々気不味い雰囲気になりつつも、学校に到着。「じゃあね。」 と、言い、みかちゃんと別れる。時刻は7時10分。朝の授業までは、図書室で時間でも潰すか。