コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

1話 №2 ( No.7 )
日時: 2014/10/22 20:36
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: SW6tVdsd)

 うちの大学の図書室は、あまり広くない。なんていったって、『室』が付いているのだから。普通の大学だったら、大抵図書館と呼ばれている。
 うーん。なんで『室』なんだろう……。
 なんて、よく考えるが、結局のところは、『狭い』というところになるだろう。
 図書室は、4階建ての校舎の2階。L字の校舎の角部屋。つまり、Lの折れ曲がるところにある。何故L字なのかは、誰も知らないが、校長先生が風水オタクというところと関わりがあるのだろうか。なんて考えていると、去年私達が作った丸くて白い木の看板に、黒で図書室の文字。茶色の木を白く塗ったのはよく覚えてる。いやぁ、そういやあのとき私は……。

「んっ……あれ?」

 教室の前側に、2枚あるクリーム色の扉。よくある引き戸だが、何かが邪魔をしてびくともしない。

「うーん。後ろ側なら空いてるかな。」

 と、我ながら良い発想。後ろ側のドアのもとに駆け寄る。こちらも普通の引き戸。思い切って引く。

「オラアッ! ……ふぅ。無理か。」

 さては図書委員。今日に限って朝寝坊でまだ鍵開けてないのか。
 私は時間がある時は大抵図書室に来るが、朝に来たのは初めてだ。図書室がいつ開くかなど、知ったこっちゃない。あ、でも図書委員が開けるのは知っている。私はその場で首に巻いてある赤いマフラーを取り、カバンに押し込むと、Lの上に向かって歩き出した。真っ直ぐ進んだ先には職員室があり、図書室の鍵はそこに掛かってある。

 スタッタッタッタッ。

 私の歩く音だけが校舎に響き渡る。しかし、それはすぐに砕かれた。

 ……ギィ。ガラガラガラ。

 職員室のクリーム色のドアがゆっくりと、大きな音を立てて開く。中からは、長身で眼鏡を掛けた男の人が出てきた。一瞬先生かと思ったが、赤色のネクタイの制服を着ているので、恐らく1年坊主だと判断した。ちなみに、うちの大学は、1年生から3年生まで、見分けやすいようにネクタイの色が違う。1年が赤色で、2年が青。3年は黒だ。私は彼の手に視線を向ける。手には……鍵を持っている。

「そこの君。そうあなた、図書委員? 早く開けてくれないかな。」
「あっ。今開けます。」

 彼はそうひと言言い、まっすぐ図書室の方に歩き出した。