コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

1話 №6 ( No.24 )
日時: 2014/10/31 20:40
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: SW6tVdsd)

 並木道を抜け坂を登ると、そこは小さなスーパーになる。白く、少し凸凹がある壁に、緑色っぽい屋根。屋根に吊るされたトタンの看板には、緑色で《スーパー金子》と書かれている。《スーパー金子》……そういえば、なんて普通な名前だろう。などと考えてもしょうがない。
 ここ、《スーパー金子》の駐車場は、小さな店に比べてとても広く、車が軽く30台は入るだろう。しかし、こんな坂の上にあるスーパー。大抵駐車場が全て埋まる事は無く、今も、濁った青に、銀の貨物入れ。赤字で輸送と書いてあるトラックが1台。中でおじさんがいびきをかいて寝ている。後は、お菓子のショコラのような茶色の軽自動車と、黒色の大型(?)車が1台ずつの計3台。駐車場の10分の1程度しか入っていない。と、まあ。そんなそんな混まないスーパーを尻目に歩き続けること20分。大学から30分で、私のアパートだ。今まで早歩きの私に合わせていた櫻田 秋也も、大分疲れたようでフウフウ言っている。私はこの距離を毎日歩いて通学。きっとこの人はできないんだろうな。

「ここですか。では、お邪魔します。」

 ん? えーっと。それは……。家の中に入るということだろうか。はっ!?

「だめだめ。っていうか、なんでよ。100歩譲って入っていいとしても、まだ中汚いし。」

 まあ、私だって一応年頃の女の子。普通に考えると「どうぞどうぞー」なんて言って入れる人はいないだろう。……なんて言って入れる人なんていないだろう、だって。なんか『い』が多い。うふふ。

「なんで笑ってるんですか……?」
「あ。いやぁ。なんでもないやぁ。あはは……。」

 とにかく問題はこの櫻田 秋也をどうするかだ。このまま帰れと言うのも少し嫌だし。かと言って入れたくは無い。3秒間の沈黙の末、「待ってて。今、片づけてくる。」と言って部屋に入り、ドアをこれでもかと強く閉じた。バタンという音がよく聞こえる。