コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 2話 №7 ( No.39 )
- 日時: 2015/01/19 11:58
- 名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: zCJayB0i)
- 参照: あけましておめでとうございます♪ 本年もよろしくお願いします。
彼の家に行くならバスで行くのが一番いい。パパッとカラオケ店のすぐ側にあるバス停に。なぜか胸が痛くなる。大丈夫なのか。誘拐されていたらどうするか。
……いや。今日はイブだぞ。他の女の子と遊んでいるとかないよな。あ! そういや24日と25日は来るなとか言ってたぞ。ああ、これ確信犯。絶対家でイチャイチャしてるぞこれ。そんな、酷いよ。「か、いや。あなた誰ですか?」とか言い出したら私失神しちゃうかも。
不安に押し潰されそうだが、バスが到着。前のドアの階段を駆け上がる。
「……あ」
しまった。電子マネーをタッチするのを忘れた。ちょっとした時間ロスだ。タータンチェックの三つ折り財布を取り出してタッチ。上にある小さな画面に緑で《ザンキン 3420エン》と表示された。バスのなかはほぼ満席。しかし運良く空いていた席に座ることができた。
◇◆◇
彼の家には前に一度行ったことがあるので、道はすぐにわかった。彼の部屋の番号は16番。アパートの下に大きなポストがあり、そこの郵便物でだいたい居るかはわかる。安っぽい銀色。所々にあるサビの茶色。私の実家とどこか似ている。16番と書かれたポストを見るが、なかには銀色しかなかった。これで恐らく家にいたということになる、今日の朝までは。フゥーと一息吐き、2階で手前から6番目の部屋が16番。くすんだ赤いドアは味がかる。インターホンは無いので、ドアをノック。────反応なしか。もっかい。────反応なし。さてと、ドア開いていることにかけよう。
ガチャッ──。あ、空いた。
「お邪魔しまぁす。秋也君?」
「……みゃお」
秋也君の代わりに中から出てきたのは、綺麗に生え揃った紫の毛のネコ。座った姿はスラッとしていて、大きな目も少しつり上がっている。電話に出たのもこの子であろう。
「ネコちゃん。どうしたの? 秋也君の事知ってる?」
「……シャーッ」
前足を伸ばし、毛を逆立ててお尻をあげる。こんなにも警戒している様子はあまり見ない。さっきまで平気だったのに。
「ミャッ!」
「大丈夫、大丈夫。悪い人じゃないよ。ほら」
私だってネコが初めてなわけではない。なだめられるよう、腰を低くしてネコの目線になり、少しずつ手を出していく。しかしそれはネコには無駄だったようだ。段々と後ろに下がっていく。同時に私が手を伸ばすと、前足で手を引っかかれてしまった。
「いてっ。」
少しだが、血が滲む。切れてしまったようだ。ネコ爪にも赤っぽい色が付いている。……。
「心配しな、あっ──。」
……to the next story.