コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

2章 1話 №3 ( No.44 )
日時: 2015/01/14 17:41
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: zCJayB0i)


 もう駄目だと思いかけたその時、もう私は落ちていた。お腹には巨大トンボの足が付いたまま。落ちていた。……ん? やばいね。私、落ちてるのか。足の付け根を見たが、私はすぐに目をそらした。緑色の血が足の元付け根の方からベトっと流れてくる。嫌ぁ、気持ち悪いよぉ。
 どうにかこの足だけでも振りほどきたいのだが、意外と硬い。まるで鉄の塊だ。 下を見ると、地面。ああ、このまま私死ぬのかな──。
 しかし、私が次に目を覚ました時、身体に引っ付いていた足は取れ、代わりに背中と足に違和感が……。

「はあ、びっくりしましたよ」

 と言ったのは、櫻田秋也だった。近くにはあの巨大トンボが倒れている。足が1本無い。まさか。

「足……切ったの?」
「だって花凛さんが……。あと、降ろしていいですか? お姫様抱っこ、疲れます」
「えっ。ああ、ごめんごめん。私をキュンキュンさせようってのは100年早いから!」

 ちょっと強がってしまった。実は結構嬉しかったりするのは秘密だ。

「じゃあ、あいつを殺します」
「え? 駄目だよ。可哀想でしょ」

 彼は一瞬驚き「可哀想って言ったって……」と困った表情。少し考えると、あっ! というように目を開き、巨大トンボの方へ向かって行った。

「花凛さん。見てなくてもいいです」

 そうひと言いうと、何やら言葉を短く唱えた。すると、彼のお尻から、ネコの尻尾が生えてきた。これだから見なくていいってわけか。彼は尻尾を一振り。巨大トンボの体はだんだんと浮かび、動かなかった羽が、再び動き始めた。

「見てたんですね。蘇生術というものです。これに乗って、近くのガクタラという街まで行きましょう」

 え。これに乗るのか……。ちょっと気持ち悪い。なんならユニコーンにでも乗りたかった。しかし贅沢は言ってられない。彼はスタスタと前を歩いて行ってしまう。そのお尻に尻尾は無かった──。


*────────────────*


追記……


明日から少々家を離れるため、更新ができません。来週の火曜日には再開できると思うのでご了承下さい。


*Ruku*