コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 2章 1話 №7 ( No.52 )
- 日時: 2015/01/25 16:43
- 名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: zCJayB0i)
- 参照: 長めです♪
少し歩くと街の風景は若干変わり、大きなお店も見えてくるようになった。日本のスーパーみたいだ。
「ちょっと買い物してもええ?」
「いいよね──うん」
すると、アリシアはすぐそこのお店に入る。カーンカーンという音が……カウベル? だっけ。なんか牛が付ける鈴の音に似ている。
奥にいる男性と、アリシアが喋るが、勿論私にはわからない。でも、品物を見るからには魚屋さんのようだ。サバみたいな普通の魚から、真っ赤な魚に、ヘンテコな形の魚など、いろいろな魚がパクパク口を動かしながら水槽の中を泳ぐ。
店主とアリシアの会話は終わったようで、店主の男性が水槽の中に手をズボッと入れる。まさかの掴み取り……。しかも素手で。しかし彼の手をよーく見るとウロコの様なものが生えている。共食い……?
「ねぇ、秋也く──」
私の言葉を遮るようにかれは人差し指を立てて自分の口の前へ。喋るなということか。彼は、「ここでその言葉を話さないように。あと、僕の事はシュウと呼んで」と、小声で言った。
しかし、店主には聞こえてしまったらしい。店主をなだめるようにアリシアが何か言っている。
「ダメや、逃げるで」
アリシアがそういうや否や、秋也……シュウ君は私の口に手を当て、何かを短く唱える。んっ。しゃ、喋れない。口が動かない。
「おっお。うーうん!」
今のは「ちょっと。シュウ君!」とカッコよく決めるはずの台詞。しくじったぁ……。
「いくで。3……2……1!」
──いてっ。
どこじゃい、ここは。しかも気持ちが悪い。今にも吐きそうだ。
「よぉ吐かんかったな。カーリーだっけ? ……ああ、カリン」
「僕もさすがに初めは吐いたよ。だってアリシアのワープは雑過ぎて……ふふっ」
ワープ? 確かにここはあの店では無く、家のようだ。ここがアリシアの家か。藁のような天井はどこか縄文時代を感じさせる。
「はい。これ飲みぃや」
そう言って出されたのは薬のような粒。すかさず透き通った水と一緒に飲み込む。
「うぁぁ。おおいう……うーうん!」
「あ、ごめんごめん。今解くからね……」
彼はまた私の口に手を当てて何かを唱える。すると私の口は急に軽くなった。
「ん。喋れる! ってか、これは何? 薬かなにかなの?」
「翻訳機……みたいな?」
うっ。私、機械飲み込んだの? 大腸のなんだけっけ……なんかあの機械も飲んだ事ないよ。
「外、行ってみて」
「う、うん」
しっかりした木のドアを開けると、信じられないものが聞こえてきた。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 今日はいいのが入ったよ!」
「ねぇ。私の夫、最近兵士の通告が来てね……」
「ママ〜! あっちのお店行きたぁい!」
……聞こえる。全部、全部、全部!
「よっしゃ! じゃあ職貰いに王様のとこ行くで」
……to the next story.