コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

2章 2話 №1 ( No.54 )
日時: 2015/01/26 19:41
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: zCJayB0i)

*〜* 2話 *〜*

「いやいや、もう暗くなるから明日にしよう」

 シュウ君はそう言うと、木の椅子に腰掛ける。しかし少しすると立ち上がり、奥の部屋へ。緑色のカーテンも閉めてしまった。

「シュウ。おやすみー」

 あ、寝るようだ。少し早い時間だが、疲れたのだろうか。

「おやすみなさい……。ねぇ、アリシア。シュウ君もう寝ちゃうの」
「あぁ、あいつは眠い時に寝る主義やからなぁ。戦った時とかはすぐ寝てまうねん」

「ふーん」と言い、不意に壁に目をやる。壁に掛かっているのは、大きな木の絵だ。色付けは緑だけと、なんとも言えない。

「気付いた? うちのひいおばあちゃんの絵なんや。この絵ぇ描いた後、すぐ死んでもぉたんだって」
「初心者にはわからないけど、なんか深いなぁ」

 彼女はその後いろいろな事を教えてくれた。その、ひいおばあちゃんの事や、シュウ君と初めて会った事。そして、

「うち、一回あっちの世界行ったことあるんよ」

という衝撃的なものだった。
 確かにアリシアは日本語を話せるし、私に会ってもびくりともしていない。でもまさかそうだとは。彼女の話によると、行ったのは大阪辺り。お父さんの実験に巻き込まれてしまったという。

「うちが7歳の頃やったから……」
「そういえばアリシアって今、何歳? こんなこと聞くの駄目かな」
「あ、うち? 今は23」

 意外と大人だ! 私と同じくらいと思っていたが、5歳近く上だとは。

「15年前やろ。あっちの時間に直すと、60年前か」

 ん。え。えーっと。待って待って。どういう事? 60年前って、4倍?

「アリシア? なんで4倍──」

 私のその言葉を押し退けて彼女は言った。

「知らんかったの!? こっちの方が時間が遅いんよ。だから4倍くらいになるんやで」

「じゃあ、残り時間って──」


 3ヶ月。それだけか。
 こうなったらシュウ君に寝させる訳にもいかない。私は奥の部屋へ直行し、カーテンをバッと開ける。

「シュウ君! 話が違う……?」