コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

2章 2話 №3 ( No.57 )
日時: 2015/01/31 20:15
名前: 占部 流句 ◆PCElJfhlwQ (ID: zCJayB0i)
参照: 王宮って、夢が詰まっていて……


 大きな門が、リリースという兵士の合図でギギギという音を立てながらゆっくりと開く。
 リリースの「どうぞ」という手振りを受け、アリシアは軽くローブを持ってお辞儀。まるでどこかの国のお姫様だ。カリンとシュウもあとに続いてお辞儀をする。
 アリシアが「行くで」と言い、なかへと入る。慌ててシュウ、カリンも入る。

「アリシア、ありがとね」
「いいの、いいの。元はうちらが行っちゃったからやろ」
「っていうか、アリシア。国王の宮殿の門番と知り合いって……」

 シュウが不思議そうに尋ねると、アリシアは「ああ」といった具合に手を動かし、「由緒正しき天使の末裔やで? そんくらいできるわ」と答えた。

「国王陛下の名前はセト・カルシュワル・ドゥ・ミスターチ。ミスターチ家の8代目。」
「じゃあ、ミスターチ8世ってこと?」

 カリンがそう口にすると、アリシアはハッとして、カリンの口を押さえ、辺りを見回す。

「誰もいなくてよかった。それ言ったらアカンで。セト国王はそうやって呼ばれるの嫌いなん。呼ぶ時は陛下かセト様や」

 カリンはコクっと小さく頷き、また歩きだした。
 目の前に広がるのは、赤のカーペットが敷かれた長階段。両端には黄色のドラゴンが所々に描かれている。
 階段を登りきると、さっきよりは小さな、でも大きい扉があった。
 扉の前に立つと、アリシアが小声で話しかける。

「リリースの横にいた魔法使い、いたやろ? あいつは神官のエンゼっちゅうて、ちょっと位が高いんよでも由緒正しき天使とは対立しててなぁ……」

 この扉は魔法使いしか開けられないようになっているようで、神官エンゼの力を借りないといけないらしい。しかしアリシアはエンゼとの対立があり、頼めないという。

「頼む、カリン。あいつに開けろぉ言うてきて」

 しょうがなく了解するカリン。上がってきた階段を下り、また門のところへ戻る。

「もう。さっき言ってくれればよかったのに」

 プライドの高いアリシアは、カリンに頼んだことを知られたくはないようだった。若干愚痴っているうちに、また門の前に到着。さっき話したリリースとは逆にいる、神官エンゼに話しかける。

「すみません。王様のところに行きたいのですが……」
「……はい」

 ひと言返事をして、すぐに扉の方へと向かう彼。カリンはなんとも言えないイライラに悩まされながら、彼の後を付いていった。