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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: どうやら私は魔王さんの家の住民になってしまったようで ( No.4 )
- 日時: 2014/11/08 21:26
- 名前: ミカズキ (ID: Z.6cz.ec)
私が遠慮がちに問いかけると、女の人は急にピタッと立ち止まった。
突然のことに、私の足はベタな恋愛小説の様にもつれまくれ、私は前につんのめる。
女の人が私の手を引いてくれたので、転ぶのは免れた。
「……あの、さっきの質問の答えだけれど」
女の人は私のことをジッと見て、それから口を開く。
「分からないの……」
そう言って、目を伏せる女の人。
その表情に、女の私でもボーッとしてしまう。
改めて見ると、物凄い綺麗な人だ。
「って、そうじゃなくて!!
……おっほん、分からないってどういう意味ですか?」
思わず関係ないことを考えそうになり、自分で自分にツッコミを入れる。
そして一回咳払いをしてから女の人に目線を合わせる。
「えーっと、どこに行くのとか考えてなかったのよ。 それで……」
女の人はそこで一旦言葉を切って、可愛らしく小首をかしげてみせた。
「ここがどこかも、分からないの」
「……つまり?」
「私達は、迷える子羊になっちゃったのよ〜」
「はぁぁ……!?」
ケロッと言い放つ女の人に、私は開いた口が塞がらない。
迷子って……ピンチじゃないの……!
「ここ、来たことない所なの。 無我夢中で走ってたから……」
そう言って女の人はキョロキョロと周りを見回す。
私もつられて見回してみるが、ここも時計台が近くにある以外はさっき居た所と同じような路地で、私にはとてもここがどこなのか分からない。
「……どうするんですか」
私は、女の人を軽く睨みつける。
女の人は、どうしましょうかね〜……なんて言いながら笑っている。
私は、ただただ立ち尽くした。
「……いたぞ!!」
「捕まえろ!!」
時計台の向こう。
そこから、そんな声が鋭く響いた。
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