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〜夏海サイド〜

「あっ、先にどうぞ。」
私はそう言った。
「ありがとう。　えっとなっちゃんて呼んでもいいかな？」

いきなり何を？　口を開いた第一声がそれですか。って言おうとしたけど、
「……──いい、けど？」

「マジ？　ありがと。　じゃあ、早速だけどなっちゃん。あの時、私そんなにうるさかった？　自分では自覚無くてさー。」

頭を掻きながら川原さんはそう言う。

戸惑いつつも、
「まぁ、うるさかった。」
「ごめんね……。」
「……！」
心の中では、謝ってほしいと思っていてもいざ、謝られるとどんな反応したらいいのかわかんない。


ねぇ、私今、どんな顔してる？
怒ってる？　笑ってる？　泣いてる？

自分の顔って、一番分かってそうで、一番分かってないところなのかもね。
「もういいよ。　それより、私のこと心配して来てくれたの？　ありがとう。」

自分でも良く分からないけど、自然に川原優菜を許す気持ちがわいてきた。

何で今までこんな事に腹を立てていたのだろうか。
そんな風にも思えてくる。

そして、お互いの事をそれぞれ話し始めた。

それからというもの、私と優菜は言葉を交わすようになっていった。

生まれて初めて、心の底から友達と呼べる人が出来た。

私は友達がいるって、こんなにいいことだって知らなかった。
だから今を思いっきり生きよう。

次の引越し場所が決まるその日まで。

充実感、達成感。
清々しさを感じた───
【続く】

byてるてる522