コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ハツコイ【コメント募集中!!】 ( No.639 )
日時: 2016/02/23 17:33
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: lKhy8GBa)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

〜夏海サイド〜

普段映画行く時、自分だけとかでは買わないけど友達と来た時に買いたくなる物──ポップコーン。
私達は迷いも無く、まずポップコーン売り場へ行った。

百合が御財布から取り出した、キャラメルポップコーンの割引券。
目にした途端、美佳の目がキランと輝くのを見逃さなかった。

肩を竦めて美佳に割引券を渡して、大きいポップコーンとそれぞれのドリンクを買った。

「早くポップコーン食べたい!!」
「いやもう食べてるだろ」
相変わらず美佳と魁のやりとりが面白くてクスッと笑ってしまう。

「あんまり食べると無くなる〜!!」
瑞希の言葉に渋々と従って美佳は、大きい一掴みでポップコーンを取ってそれで終わりにした。

目は「まだ食べたい」と訴えていたが、「映画が始まったらね〜」という一言で宥められて居た。



少し経って、私達一行は席に座ろうとチケットを見せて中に入った。

「こっち……だっけ?」
「おう。合ってる筈!!」
無邪気に笑う雄太──何だかさっきまでと違って居て、胸が高鳴る。

「わぁ〜! 暗いね〜!」
「まるで初めて映画館に来た人みたいな反応……──」
魁もそろそろツッコミに疲れて居ている様子。


瑞希と百合はソソクサっと席に座り始める。
行動が早い。

「まだ最初は広告ばっかりだしゆっくりで平気──」
「そうだよねー」
そうだよね。何を焦ってるんだろう。

鼻で息をして私は「よっこらせ」と席に座った。

横に雄太が居て、ドキドキしていた……自分で自分に照れてしまう。


【続く】
久し振りの更新ですw((

byてるてる522

Re: ハツコイ【コメント募集中!!】 ( No.640 )
日時: 2016/02/25 19:38
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: lKhy8GBa)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

〜夏海サイド〜

長い広告が終わって、更に暗さが増した。
此の暗さが増すと、いよいよって感じでワクワクする。

「楽しみ?──」
「うん!」
雄太がそう聞いてきた。
そりゃあ勿論楽しみで、楽しみ過ぎて怖い位だ……。


映画は、最近ロードショーしたばかりの物で私達と同い年位の人が沢山居た。
映画化が決定した時から既に注目されて居て、期待されて居た作品だ。

なかなか実力が有る──と評判の女性俳優さんが主役を演じて居る。

映画やドラマ……芸能人の人を見ると、自分と掛け離れて居てとても不思議な気分になる。

この女性俳優の人だって、私と大して年齢はそう離れて居ないのに──。


引っ込み思案だった主人公が、少しずつ変化する環境にともなって成長する……という物語だった。

共感出来る要素が多く、ラストは泣いてしまった。
涙目で横を見てみると雄太も感動して居て、泣くのを堪えて居た。

反対隣りの百合もハンカチを片手にスクリーンを見つめて居た。



何だか凄く心に沁みる物を感じた。──

【続く】

byてるてる522

Re: ハツコイ【コメント募集中!!】 ( No.641 )
日時: 2016/02/28 20:24
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: lKhy8GBa)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

〜百合サイド〜

もう何時もの強情さは何処かに行って、恥ずかしさも感じずに鼻から垂れる鼻水を勢い良く啜った。
そんな私を見て夏海は少々困った表情を浮かべながらも「私も感動した」と同情のコトバを掛けてくれた。

「久々に感動した!!」
美佳もそう強く宣言した。

「うん。他の人も皆泣いてたから思う存分泣けたって感じかな?」
瑞希も赤くなった目を手で押さえてそう言った。

「主人公が何だか夏海に似てた──」
雄太がそう言ったら、皆もブワッと其れに同意し始めた。

私は何だか恥ずかしかったけれど嬉しかった。

「やっぱり佐野は何時も村田の事を見てるだけ有るね」
魁が言った。


「俺も昔の同級生の中に入りたかったなー。一人だけ取り残された気分だわ」
武藤君がそう言った。

「御免御免──!!」
慌てたように正哉もそう言うけれど、武藤君は「冗談冗談」と宥めた。


今日楽しかったなぁ──家に帰ったらまた1人か。
そう思うと気分も下がって行った。

さっきまでとは違う、テンションの低い表情を浮かべて居た事が雄太にも分かったのだろうか。

「どうした? なんか有ったの?──」
鋭いな……やっぱり敵わないや。

「また帰ったら1人だなぁって思ってただけー。平気平気」
「いやいや、今のは平気な顔じゃ無かったって──」
優しいな……。

「皆で今日は夏海を家の前まで送ろう!!!」
「……え?」
言葉の意味に戸惑った。

「でも良いよ!! 遠いしさ」
私は漸く意味を飲み込んでそう言った。

「そんな顔でそういう事言っちゃうのかい?」
美佳が悪戯っぽく尋ねた。

「──ありがとう……」
私は素直にそう言っていた。

【続く】

次回から新章です!!!

byてるてる522

Re: ハツコイ【コメント募集中!!】 ( No.642 )
日時: 2016/02/29 19:19
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: lKhy8GBa)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

〜雄太サイド〜

「有難う!! 凄い楽しかった」
満面の笑みで夏海はそう言った。
俺は嬉しくてうっかり泣きそうになった──。

「私も楽しかった……」
三神が言った。
昔だったら夏海が誰かを誘うなんて想像も出来ないなぁと思って、つい笑ってしまう。

「ちょっと、なんで笑ったのー?」
夏海の怒りに気付き、俺は慌てて何でも無いと言った。
まだ不満げだった夏海も仕方なくと言った様子で諦めたようだ……。

「また、高校卒業する前に集まりたいな」
俊太が言った。
今日初めて出会ったのに、そう思って貰える──思えるなんて凄い事だ。

「卒業って……まだまだ俺等には夏休みが有るじゃないか!!」
魁が俊太の肩を叩く。
勢いで軽く前のめりになる俊太に、一斉に笑いが起こる。

「そっか、もう高3か」
「御前もしかして、あの頃はまだ中1だったのに──とか思ってんのか?」
「っるさい!!──」
渋川が正哉の言葉にハッキリ反論した。

久々に中学時代の姿が蘇る。


「皆と居ると楽しいよ──!!」
美佳はもう泣きながら言った。

「涙もろいなぁ」
夏海も泣きそうになってそう言った。


すっかり辺りは暗くなって、いつの間にか街灯もポツポツと点き始める。
「日が延びたと思ったけど、やっぱり夜になると暗いよね」
「当たり前だろ」

風がさぁっと吹いた──……。



俺達は夏海と別れた。
後ろを何度振り向いても、夏海は手を笑顔で振って居た。

優しい風がもう一度吹いて、顔を優しく撫でた。


【続く】

もう1回だけ〝14話〟を書きました!!
中途半端だったので(笑)

それでは!!!(`・ω・´)


byてるてる522