コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ハツコイ【コメント、アドバイス募集!】 ( No.743 )
- 日時: 2016/12/29 21:57
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
「高校卒業しても私達はずっと友達だよね!?」
まさに、今にも泣きそうな表情……で美佳が百合や瑞希、私に聞いてきた。
笑って「当たり前じゃん」と答えたが、私も同じような気持ちになっていた……。
「高校卒業したからって私たちまでさようなら、になる理由はないんじゃない? だから私はこれからもそうでありたい、って思ってる」
瑞希が私の心までもを見透かしているかのような言葉を言った。
「……私だって、夏海たちと出会う前はそんな友達いなかったし。多分これからもできないと思う──こんなに大切って思える人たちには出会えない気がする」
百合も真剣に言っていた。
「なんだか老けて見えるよー」美佳の言葉に同時に吹き出す。
向き合ってお互いに顔を見合わせると、再び吹き出してさっきよりも大声で笑ってしまう。
「なぁ、HR始まるけど」
どのくらい笑ってたんだろう。
雄太の一言で私達はそれぞれ今の現実に引き戻された。
「やばいじゃん先生来る」
アワアワと美佳が立ち上がって百合や瑞希も立ち上がる……。
「久々に放課後またどっかで話さない?」
瑞希が私達にそういった。
……瑞希の視線はチラチラと雄太の方へも向けられていた。
察せる雄太は「いいよ」というような感じで手をヒラヒラさせた。
「じゃあ夏海借りるよ!」
美佳が雄太に言った──借りる、って私は物じゃない……。
「じゃあ放課後ね」
瑞希がまとめるようにそう言って、私達は着席をした。
ざわついていた教室内も少しずつ静かになってきた頃合いに先生が教室に入ってきた。
放課後は久しぶりに4人で過ごします──……!
【続く】
byてるてる522
- Re: ハツコイ【コメント、アドバイス募集!】 ( No.744 )
- 日時: 2016/12/31 02:18
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
「なんかこうして、放課後制服で集まる感覚……久々だと尚更いいね」
瑞希が自分のスカートや袖を確認しながら言った。
「ね! そんなことよりどこ行く?」
美佳が目をキラキラさせながらそう言った。
「ねぇ、これあるんだけど」
百合がお財布から取り出したのは……新しく出来たカラオケ店のクーポン券だ。
「前から行こうって誘おうと思ってたんだけど、なかなか予定とか合わなくて……ずっと入れっぱなしにしてた」──今日みたいな日が来るのを信じてたから……と百合ははにかんだ。
「カラオケかー! あんまり上手くないけど……」
私は少し不安だった。
「いやいや! 上手い下手よりも楽しさの方が重要でしょ!」
美佳が私の背中をポンっと押した。
「そうだよね!」と本当にそんな気がして……呆気なく乗せられる自分に驚く。
**
「いらっしゃいませ」
レジの人が私達の方へそう言った。
「天井高いね」
瑞希が上を見て言うから、私と百合、美佳も同じように見る。
「新しいカラオケ……最新って感じだな」
百合が言う。「じゃあクーポン券使っちゃうね」とレジでクーポン券を出す。
マイクと時間が書かれた紙を持って部屋番号を伝えられて私達はそのまま向かった。
「ワクワクー!」
「最初飲み物注文しちゃおー」
「たくさん注文するかも……」
「まぁ、時間までは自由に飲めるし値段も変わらないからたくさん飲んだ方がお得……トイレに注意ね」
でもすぐ角を曲がったらトイレがある事を発見し、思う存分歌も飲み物も楽しめる、と4人でと喜んだ。
その後は、とにかく絶え間なく誰かが歌っている状態になった。
美佳に引っ張られて、流行りのアイドルの歌を瑞希と一緒に振り付けつきで歌ったり……百合の結構太い声に驚いたり……。
思い切り4人で熱唱したら、点数が凄く低くて苦笑し合ったり──。
歌っている間は一瞬で──飲み物もすぐ消えて……。
時間は経つのが本当に早い。
「あー、あー……これ多分明日声かれてそうだわ」
百合が喉の調子を確認する。
「もう喉痛いし」
瑞希が喉に手を当てながら言う。
「結構瑞希熱唱するタイプだったんだね!」
私はいたずらっぽく言うと「夏海はもうかれてるじゃん!」とさらに上をいかれた。
「楽しかったね!」
美佳はガラガラな声でいつも通りの表情でそういう。──なんだか一切包み隠さない感じが、かっこいい。眩しい……。
「ありがとうございました」
ちょっとばかりか店員さんのテンションが低い。
でもそれはいつも、どこでも同じこと……。
「まだまだ明るいね!」
カラオケ店を出てもまだ日は沈んでいなかった。
「また来ようね!」
私がそう言うと、3人は同時に振り向いて「それはもちろん!」「でも佐野とも来なよ!」と強く言ってきた。
「またクーポン券とかあったら、夏海にあげる」
サラっと百合が言う。
瑞希と美佳はそれに「いいね!」と強く賛成していた。
こんな風なやり取り、いつまででも出来てたらいいのに。──
【続く】
今年最後の更新です!
今年1年お疲れ様でしたm(*_ _)m
なんでこんな時間にいるかって……?()
それはもちろん、年賀状を書いていたからですよ((☆
byてるてる522
- Re: ハツコイ【コメント、アドバイス募集!】 ( No.745 )
- 日時: 2017/01/02 12:04
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
「予約していた、村田です」
最近、ずっと髪を切っていなかったので伸び放題だった髪……。
久しぶりに切ろうと思い、昨日予約したのですが──、思った以上に綺麗で私なんかがこんな所にいていいんでしょうか……。
「あぁ、初めてのお客様ですね」
「は、はい!」
思わず声が大きくなってしまった。
「初めてのお客様は普通の値段の半額でやらせて頂いています」
「あ! ……そうなんですか!!」
──人間は誰しも、『お得』に惹かれる生き物だ。
**
「それでは今日はどのようにしますか?」
美容院ならではの、足置き場があるクルクルと回る椅子に座ってケープを着てから店員の人に聞かれる。
私は鏡に映る髪の毛を見つめた。
「今まで、あまり髪を短くしたことが無いので……」
「そうなんですか! それでは、ちょっとチャレンジしてみますか?」
「……お願いします──!」
どんな風になるんだろう……。
ちょっと不安……いや、ものすごく不安だけど「任せてください」と微笑む店員の人に任せるしかない──。
耳元で髪を切る鋏の音が聞こえる。──それと一緒に髪の毛が切り落とされるパラパラ、という音。
「前髪はずっと伸ばされていたんですか?」
「はい。もう随分切ったことないです……」
「切ってみますか?」
「ふぇ!?」
自分でも信じられないくらい、間抜けな声が出る。
口を手で抑えた。
「……へ、変じゃないですか?」
私は店員の人に思い切って聞いてみた。
──返ってくる返事が怖くて、キュっと目を瞑った。
「いえ、きっと似合うと思います。大丈夫です」
あぁ、なんかこの人が言う事は全部本当の事に聞こえる。
「それじゃあ……」
最後がなかなか言えない私を察したのか、店員の人は「はい」と優しく笑った。
──……。────
**
「出来ましたよ」
そう言われて、鏡に映る自分の顔を見つめた。
「わぁ……短い!」
「よくお似合いですよ」
今までこんなに髪を切ったことなんて、あったかな。
ずっとなかった前髪がある──ちょっと上目づかいで上を見ると前髪の先が見えるこの感覚──。
全部全部が新鮮で……嬉しくて──。
「ありがとうございました!」
「いえ! とても綺麗な髪で、これからも大切にしてくださいね! 髪は女の命ですから」
少しばかりか笑い声が店内を包む。
「また来ます」
「はい、またお待ちしております!」
お店を出たところまで見送りに来てくれたその人は最後まで笑顔だった。
ちょっと生まれ変わったような気持ちの今は、誰かに会いたい……そんな気分だ。
風が私の切り立ての髪を微かに揺らした。
【続く】
あけましておめでとうございます(o´艸`)
2017……もうこんなに経ってしまうんですね。
本当にこのサイトでたくさんの方と出会って、たくさんの小説に触れることが出来ました。
これからもどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m
byてるてる522