コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: カワルミライ ( No.26 )
- 日時: 2015/01/17 11:56
- 名前: むつ (ID: f3ScG69M)
私のその質問に功さんは答えた。
「謝りたいと思ったからさ。それ以外に理由はない。あ、あとお嬢ちゃんも、もう謝んなくていいよ」
そう言っている功さんは少しさっきよりも表情が明るくなったように思えた。
「そうですか・・・。じゃあ、気を取り直して依頼を実行します」
「そうか。お願いするよ」
功さんは決意を決めたように言った。けど、ちょっとやっておかないといけないことがある。
「あっと、その前に」
そういった私を見て功さんはとぼけたように言った。
「ん?なんだね」
「料金をお支払いください。税込みで16000円」
コレをやらなかったら商売にはならない。別に、決して忘れていたわけではない。
「結構高値だな」
功さんは顔をしかめて言った。けど私は平然という。
「安いくらいでしょ?未来を変えられるぐらいですから」
「まあ、それもそうか」
功さんは納得してくれた。そして財布からきっちり16000円出して私のほうに差し出した。
「はい。どうぞ」
私はそれを受け取る。
「確かに16000円いただきました。それじゃあ早速・・・」「ちょっとまってくれ」
依頼を実行しようとした私を功さんが止めた。
「なんですか?」
私は聞く。そして功さんは言った。
「一つだけ聞きたいことがある」
「なんでしょうか?」
「ここの名前は、『カワルミライ』といったな」
「はい」
「なぜ、変わる未来なんだ?未来を変えることもここでは受けてるが過去を変えることも受けたまっている。なのに、何故・・・?」
功さんは本当に気になっているようなので私はさっきも同じようなことを言ったような気もするが答えた。
「それは簡単な事です。過去を変えれば、未来が変わる。未来を変えれば未来が変わる。つまりどっちを言っても未来を変えることになります。だから『カワルミライ』なんです」
と。それを聞いて功さんは少し微笑み、言った。
「そうか・・・。すっきりしたよ。ありがとう」
「・・・。もう聞きたいことはありませんね」
「ああ」
功さんは微笑んでいった。もう思い残すことがないというように。その反応を見て私は言った。
「それでは依頼を実行いたします。では、功さんは目を閉じてください」
功さんは目を閉じ、言った。
「こうか?」
「はい。それでいいです」
功さんは目を閉じながら言った。
「神楽ちゃん」
「!!」
私はさっきまで私のことを功さんは『お嬢ちゃん』と呼んでいたのに対して『神楽ちゃん』と呼ばれたことに驚いた。
「なんですか?」
「ありがとう」
そう。一言、功さんは笑いながら言った。
「!! ・・・どういたしまして。それでは・・・」
功さんは目をつぶっているから私は今でどういう顔をしているかわからないと思うけど、でも、笑顔で見送ってあげたかった。だから、泣いている事を悟られないように、笑顔を作って、出来るだけ、明るい声で私は言った。
「お達者で」
「ああ、神楽ちゃんも元気でね」
功さんは優しい声でそう答えてくれた。そして、その言葉を最後に功さんの体は透明になり、消えていった。私は、功さんがいえていったのを見ると涙を飲みながらこういった。
「・・・はい」