コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: RAINBOW【合作短編集】 ( No.23 )
- 日時: 2014/11/23 22:57
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
独りの狐と人気者の狸
「え……」
私はクラス分けの表を見て絶句する。
高校になってはじめてのクラス分け。
期待に胸を膨らませていたのに……。
私は2組の24番。
そこまではいい。
私は1つ前の23番に苦い思いを感じた。
23 中野 亜美
印刷されていたその名前は中学時代絶交した元親友だったからだ。
* * *
「へ〜、亜美っていうんだ。呼び捨てでもいい?」
「いいよ! 美穂ちゃん」
「美穂でいいって〜」
仲良さそうに話している前の席。
それに比べて私の周りには誰一人いない。
そんなことにはもう慣れたけど。
つり目であまり笑わない無愛想な私は人が話しかけてこない。
それに比べて亜美はたれ目でいつも楽しそうだ。
少しドジだが世話を焼きたくなるらしくいつも人が近くにいる。
あんなことがなければ普通に仲良かったのかな……。
* * *
中学の頃の私もやっぱり無愛想だった。
そして頭もそれなりによく、そのこともあってか私に接する人は少なかった。
いるとしてもやっぱり真面目な子が多かったので亜美に話しかけられたときは驚いた。
だってあの子は頭もはっきり言って悪く、愛想がよい。
ドジばっかりしているけどすぐ謝るからみんな「しょうがないなあ」って顔して後片付けをしてくれる。
要するに私と反対の性格。
顔もたれ目でおっとりしていてタヌキ顔だし。
「ねえねえ、体育祭の打ち上げ来ない?」
最初に話しかけられたのはこの言葉だったか。
体育祭以前は話しかけられた覚えはない。
「ごめん、用事があるから」
嘘だ。
用事などない。けれどクラスの馴れ合いは願い下げだ。
時間の無駄。
「いいじゃん〜。来てよ〜、ね?」
ニコッと笑って言う。
「用事あるから、無理」
なんて強引なんだ。
こっちは用事があるって言っているのに。
とがらないように注意しつつやっぱり冷たい声になってしまう。
「どうしても……?」
涙目で見られてもダメなものはダメだ。
「どうしても」
この後何分か同じやり取りをしてなんとか分かってもらった。
しかしその出来事があってからやたらと私に構うようになった。
宿題教えて、ここ分からない、一緒に帰ろう……。
はじめは断り続けてきたがしつこいので宿題教えてあげたり一緒に帰ったりした。
そのうちに心を許せるようになってしまい遊ぼうといわれてオッケーしてしまった。
最初、二人で遊んでいたが段々人数が増えてきた。
実際そういうのは苦手なので3回に1回くらい断ったが聞く耳を持たない。
結局連れて行かれるので最終的には反論することは無くなった。
なんだかんだいって彼女は優しい。
迷子の子を助けてあげたりお年寄りの荷物を持ってあげたりそういうことが当たり前に出来る子。
だから私は彼女を信頼することになった。
でも、その信頼もすぐに崩れていった。
* * *
なかがき
まだまだ続きます。
少し長くなるかもしれません……。
- Re: RAINBOW【合作短編集】 ( No.24 )
- 日時: 2014/11/24 22:16
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
独りの狐と人気者の狸2
原因は、亜美の好きな人が私に告白してきただろうか。
そのことを知った彼女は、怒るわけでもなく泣くわけでもなく無表情だった。
その表情は今でも覚えている。
その人は丁寧に断った。
そうすれば亜美と仲直りできると信じて疑わなかったから。
でも現実はそんなに甘くはなかった。
* * *
無視されるようになってから数ヵ月後、卒業式があった。
これでやっとあの居心地の悪い空気から解放されると思うととても嬉しい。
彼女の志望校は恐らく底辺だろうから高校一緒の可能性低いし。
私は清清しい気分で最後に校門をくぐった。
* * *
しかし、その相手が今目の前にいる。
なんで? あの子の成績じゃ受からないはずなのに。
どう考えても彼女の成績ではこの高校の3ランク下でも努力圏のはずなのに……。
5ヶ月でここまで成績を上げたというのか。
信じられないことだが。
まあ彼女に関らなければいい話だ。
私はそう決意して机に伏せた。
* * *
なんのいやがらせ?
私は下駄箱に置いてあった手紙を見てため息をつく。
タヌキのキャラクターがついているこのレターセットは私が誕生日に彼女にあげたものだ。
少し間抜けな感じが彼女に似ていてつい買ってしまった。
それが今私の手の中にある。
二つに折られた便箋にはこうつづられていた。
『もしよかったら、4時に喫茶店に来てください。いつもの、喫茶店で待ってます』
独特な少し大きくて丸い字でつづられていた文章。
私は少し考える。
一体彼女は何がしたいのだ?
謝りたいというのはないと思う。
かといって憎まれているわけでもない。
ただの“クラスメイト”に戻ったみたいに空気扱いはされているがいじめはないし。
チラリと時計を見る。
今、午後2時半。
今日は初日だったが結構長かった。
自分の家に帰るのに40分、自分の家から喫茶店まで自転車で5分。
十分間に合う。
私は自分の家に帰るためにバス停へ向かった。
* * *
「来てくれてありがとう」
亜美は4時ぴったりに来た。
こっちは10分前から待っているのに。
昔からそうだったけど。
「で、用件はなんですか?」
私は“普通のクラスメイト”とはなすように他人行儀に訊ねる。
「あのね、昔のこと謝りに来たの」
今更だな、と思いつつまあそこで怒ってもしょうがないので無言を貫く。
「あの時、好絵ちゃんに近づいたのは好きな人が好絵ちゃんに興味持っていたからなの。ごめんなさい」
なるほど。道理で目立たない私に優しくしてくれたわけだ。
「はじめはそれだけだったけど……。でも好絵ちゃんに接するうちにいい子だって気付いて、それでもあの人のこと好きで諦められなくて……。好絵ちゃんが告白されたって聞いたとき悪気はないんだって思っても無視までして。応援してもらったのに」
彼女はうつむいて話す。
今彼女はどんな顔をしているのだろう。
「別にいいよ。もう気にしてないし」
実際私は気にしてない。
「でも、よくこの高校は入れたね。確かあなたの好きな人はもう一つしたのランク受けなかったっけ?」
「そうだけど、好絵ちゃんと仲直りしたいからがんばったの。勉強毎日して。合格できるように」
亜美ってそんなに努力家だったっけ?
いつでも努力もせずでも愛想がよかったので結局は許されている子だったはずだけど。
「すごいね、亜美。私と仲直りするために勉強がんばったのはすごいと思う」
「だったら、私ともう一度やり直してくれる!?」
いきなり身を乗り出す亜美に私は
「それとこれとは話が別。私は独りがいいの」
「じゃ、じゃあどうすれば私とやり直してくれる!? もっと頭がよくなればいい? もう無視しないって誓えばいい?」
「別に亜美が悪いわけじゃないよ。でも亜美は仲いい子がもういるでしょ? その子たち大事にしなきゃダメだよ」
教えるようにゆっくりという。
その言葉に納得してない表情の亜美に私は決定的な一言を放った。
「だって私、美穂ちゃんうざいと思うし」
記憶に残っている亜美と友達になったであろう彼女の名前を出す。
亜美は昔から自分の友達の悪口を言われるのが嫌いだったから。
「何でそんなこというの……? 美穂、いい人なのに……」
震え交じりのその言葉にわたしの胸が痛くなったが彼女のためだ。
「じゃあそういうことで」
私は無表情を保ちつつ喫茶店をでた。
これが彼女のためなんだ、と信じて。
だって私は
——もう余命が1年もないのだから。
—END—
あとがき
別れが辛いのであえて友達にひどいことを言う……という感じを書こうとしましたが上手く出来たでしょうか?
ちょっとおかしいところあると思いますが気にしないで下さい。
さゆ
次のお題!
登場人物3人以上5人以下。
文字数2000字以上。
で書いてください!
指定されているもの以外は何でもオッケー。
文字は制限かかるようだったらレス分けてください!
じゃあ楽しみにしてるよ!
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.25 )
- 日時: 2014/12/03 22:30
- 名前: *紗悠* (ID: lmEZUI7z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
【GRASS】
◇ ◇ ◇
「あれ?彼方メガネ変えた?」
ここは部室。正式名称将棋部部室。
通称 メガネ部
「あ、おう」
銀縁のメガネの彼は手みじかに答える。
「あいつらこねえな」
「だね〜」
もう一人の赤縁の片三つ編みの少女は髪を揺らしながら後ろのドアを向く。
「一局やるか」
「そだね。暇だし」
二人とも対して表情を変えない。
メガネが結露で少し曇りあっている。
表情がないのではなく
お互い隠していたりするだけかもしれない
……15分後
「……3三金」
「へっ?……ど、同銀?」
「4二龍、王手」
淡々と流れ良く指す男子。
反し慌ただしく受ける女子。
男子が完全に優勢だ。
「お、王手!?……」
「おう」
メガネを外し拭く彼。
少女は長考に入った。
「3二銀合」
「3一銀。はい詰み」
少女の王はもう包囲されてしまい、どうもがこうと殺されてしまう。
これが詰み
「ままま、参りました……」
「幸さぁ、俺に勝ったことあるか?」
勝者の男子は呆れながらいう。
「ない……」
これが相原彼方と佐原幸のとある一局。
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.26 )
- 日時: 2014/12/04 23:18
- 名前: *紗悠* (ID: lmEZUI7z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
銀縁の彼は相原彼方。
成績優秀な将棋部部長。
赤縁の彼女は佐原幸。
ゆるふわな髪が特徴的な将棋部員。
将棋部は現在部員四名。
彼方と幸、そして
「よっ!おふたりさん!ちと遅れた!」
元気な声が部室に響く。
少し茶色い髪と緑縁眼鏡が夕陽に照る。
緑縁の彼は田崎正喜。
クラスのムードメーカー。
何気に彼方の親友である
「正喜うるさいっ」
田崎が後ろからパシッと叩かれる。
彼の後ろには切れ目の黒縁の女子が。
彼女の名は水無月綾。
将棋部副部長でありクラスの評議委員でもある。
似合う言葉は。
彼方 精神統一。
幸 優柔不断
正喜 天真爛漫
綾 才色兼備
彼ら四人が伝統の欠片もない将棋部の部員であった。
そう、これは回想
今は違う。
ひっくり返された盤の様にグチャグチャになっているのが
今の彼らである。
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.27 )
- 日時: 2014/12/06 23:08
- 名前: *紗悠* (ID: lmEZUI7z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「6二飛成」
パチッと気持ち良い木の駒の音が部室に響く。
「7二金相」
また響く。
一音乱れぬ同じ音。
「7四桂……」
また響く。
リピートのようにまた。
そこで彼の手が止まった。
どうもがこうが王は敵駒に取られてしまう。
詰みの状態。
これを揃えた盤を彼は悲しく見据える。
全てが自分に重なってしまうからだ。
動いてしまえば殺され
動かざるならも殺される。
終わりが決まった局面。
人生にもこんなのが来るのかと彼は自分を嘲笑した。
……冬の日差しに銀縁のフレームが瞬く。
彼、相原彼方はただ一人、部室にこもり駒を打っている。
相手の居ない一人将棋。
勝筋も何もかも脳に構築されている。
このまま駒の中に埋もれたい。
誰にも触れられない木の静かさに埋もれたい。
誰も居ない部室に自分を張り付けてしまいたい。
磔にしてしまいたい。
彼は自分を自分で裁いていた。
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.28 )
- 日時: 2014/12/08 23:43
- 名前: *紗悠* (ID: lmEZUI7z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「彼方」
彼の後方から透き通るような声が。
振り向くとそこには赤縁の少女。
幸だ。
ふわふわしていた髪も今はストレートになっている。
彼女は今までで一番彼の近くにいた存在だ。
暗き過去を背負い生きる彼を支えたのは紛れもなく彼女だ。
「幸……」
いつもの豊かな目とは違いどこか悲しそうな。
深海に落としたように黒く目が染まっていた。
そして彼女が近づいてくる。
一歩一歩の音が鼓膜を細かく揺らす。
そして
彼の目の前に着いたその刹那。
ヒュッ
髪が顔を撫でた。
そして彼と彼女の唇の距離が零になった。
この口づけは何を示唆するのか。
彼への償いか戒めか。
何の意味を持とうとも彼の心に深く刻まれる。
口づけはたった数秒。
その数秒で彼の脳内に微かな色が付いた。
彼女の存在は偉大なのかどうか。
分からないが天使のように柔らかい。
「彼方」
彼女は彼の名を呼び悲しく。
また幸せそうに微笑んだ。
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.29 )
- 日時: 2014/12/17 22:26
- 名前: *紗悠* (ID: MIWWdNDg)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
◇ ◇ ◇
俺のしたことは罪なのか?
俺は裁かれる罪人なのか?
◇ ◇ ◇
頭をかき混ぜていた渦は彼女の口付けで散っていった。
「俺……」
何かを言いかけると幸の人差し指が口に触れる。
唇を垂直に撫で俺が言うのを抑えさせている。
「何も言わないで……」
幸の眼鏡の奥の瞳が薄く曇る。
少し俯いている彼女は何を想っているのか。
「私は、彼方のことが好き」
次に放たれたのは突然の告白だった。
「好きな人だから、壊れて欲しくない」
幸の声が微かに震える。
「今の彼方は自分の世界で迷ってるだけで
踏み出そうとしてない」
俺の胸に幸の言葉一つ一つが刺さる。
「もう、傷つき続けるのはやめて
踏み出して、進んで、抜け出して」
そして
「今は歩みたいに一歩一歩でも良い
地道でも良いから自分と向き合おう?
踏み出さない限り何も掴めないよ?」
すきま風に彼女の髪が揺れる。
彼女をはっきりと瞳の奥に焼き付かせるかのように。
俺の足は前にしか進めない歩のように
小さな一歩を踏み出した。
EnD……?
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.30 )
- 日時: 2014/12/23 21:52
- 名前: *紗悠* (ID: w4zhaU6v)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode
忙しすぎてお題忘れてたww
まぁ紗悠としては珍しいこの作風
こうゆうシーンも好きというか得意な方です
夕陽へまぁお題!
以下の三つを満たすこと!
・登場人物は男子女子1対1の同い年
・同じ時間だけを用いること(放課後のみのような)
・泣かす気持ちで!
コメ数はおまかせ!
とにかく感動系を!
まぁいくらでも待ちますよw
- Re: RAINBOW【合作短編集】 ( No.31 )
- 日時: 2014/12/26 09:19
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
彼女の命or僕の命
僕は今屋上に続く階段を登っていた。
とうとう扉まで登りきり目の前にある扉を開ける。
ギギギと少し不安に思う音とともに扉は開かれた。
運動場ではまだ運動部が練習している。
運動部の声と吹奏楽部の演奏がアンサンブルを奏でている。
やっぱり屋上はいいな、そう思いつつ僕は端っこに腰掛ける。
誰もいない屋上。
たくさんの人がいる運動場。
正反対だ。
フェンスに寄りかかるようにして本を取り出す。
まだ昨日買ったばかりの綺麗な表紙。
途中に挟まっている栞を取り出して僕は読み始めた。
しかし数分後、ギギギという耳慣れした音が僕の耳に届いた。
僕は瞬時に文化祭のための小物の後ろに隠れた。
別に悪いことをしているわけではないけどなんか隠れてしまった。
現れたのは女の子。
上靴の色を見る限り僕と同じ2年生なんだろう。
黒くストレートな髪の毛がとても綺麗だ。
彼女は誰もいないことを確認するとフェンスに近寄り下を見る。
え?
そのあとの行動に僕は驚いた。
フェンスに手をかけ乗り越えようとしたのだ。
こんなことするなんて、彼女はきっと……!
ここでダメだよ、と言えたらどんなに良かっただろう?
しかし僕は固まってしまって何も言えなかった。
ただ、ひとつだけ救いだったのは僕が立つときバランスを崩して文化祭のために作られた小物が崩れて僕の存在を彼女に知らすことができたことだ。
実際この音に驚いて彼女は乗り越えようとする手を止めた。
呆然としている彼女に僕は固まっている体を無理やり動かしてこっち側に引き寄せた。
「なんでそんなことするの?」
「なんでそんなこと聞くの?」
怒っているというより悲しんでいるという言葉が似合うような口調だった。
彼女はこっちをまっすぐに見る。
その目が僕のいとこにそっくりだった。
「だって、ここから……」
飛び降りようとしたでしょ? という言葉を飲み込む。
それを肯定されるのが怖かったからだ。
2年前、いとこにも言ったセリフ。
あの時は中学校の屋上だったけど、シチュエーションはすごく似ている。
「飛び降りようとしたよ? でもあなたには関係ないでしょ」
しかし彼女はさらりと真実を言う。
「関係あるよ! だって同じ学校の生徒じゃん!」
僕は反論するが彼女はもう飽きたというようにまたフェンスに向かう。
今度こそ彼女は本当に飛び降りるだろう。
「そういう同情されても嬉しくないよ……」
今、名前の知らない彼女が自らの命を絶とうとしている。
そして僕はそれを止める余裕さえない。
——お願いだから、そのフェンス乗り越えないで……。
思いは言葉にしなければ届かない。
「じゃあね」
少し震えた声で僕に言葉を残し彼女は、
——運動場へ吸い込まれるように落下した。
僕はしばらく何もできなかった。
しかし運動部の練習の声が悲鳴に変わり僕はすぐに屋上を降りた。
こういう時、何をすればいいのだろう?
考えに考えたが最善策は浮かばない。
誰かが呼んだであろう救急車の音を聞いたとき僕は自分がしなければいけなかったことを把握した。
救急車を呼ぶ。
簡単なことなのになぜ気付かなかったのだろう。
担架に乗せられ運ぶ彼女を僕は別世界の出来事のように眺めていた。
だから次の言葉も別世界の出来事のようだった。
「彼女をお前の命で助けてやろうか?」
「彼女が、僕の命で助かる……?」
「ああ」
普段だったらこの申し出を断っていただろう。
いや、普段じゃなくても断っていたかもしれない。
しかし、僕は断れなかった。
「彼女を、助けてください……!」
だって名前も知らない彼女は、いとこにとてもそっくりだったから。
彼女を取り戻すことでいとこのことも薄れるかもしれないと思ったから。
僕は、自分の命を犠牲にした。
—END—
あとがき
何故かすごく暗くなってしまいました……。
感動というよりバッドエンドに近いかな……。(コメライなのに)
女の子は助かったので完全なバッドエンドでもないと思いますが、ハッピーエンドではないですね……。
ちなみにこれは全て放課後の物語です。
同じ時間のみで感動系がすごく難しかったです……。
というよりこれって感動系じゃないような……。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!
さゆ
次のお題は……
・なにかの擬人化(擬人化の内容はなんでもオッケー)
・10文以上150文以下
ジャンル・文字数は制限なし!
よろしくね!
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.32 )
- 日時: 2015/01/07 23:56
- 名前: *紗悠*(鎖遊) (ID: xStpW3P0)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
目覚まし時計
「ん……眠いなぁ……」
朝、鳥のさえずりが窓からちらほら。
自分の体をみると律儀に長い針と短い針が一直線になってる。
「お、6時かぁ」
なぜか自分のお腹にある二本の長短の針はチクタク音を立てながら動く。
「よ〜しっ」
朝6時、俺の唯一の仕事タイム。
大きく息をすってぇ〜〜
「美咲ぃー!!朝だぞぉー!」
出せる限りの声で叫んだ。
ちなみに美咲とはここでまだ寝てる女の子。
ちなみに高校1年生。
「むぁ?まだ眠い……」
「起きろって!遅刻するよ!」
まだまだ叫ぶ。
美咲の寝起き姿はかわいいけど、寝起きは悪い。
「やだ〜まだ寝る〜」
え、ちょ、美咲、
美咲は俺を体全体で抱きしめて口を塞いだ。
口塞がれたら声出せないんですけど。
……まぁいいや、美咲の布団暖かいし
美咲〜遅刻しても知らないぞ〜
ま、またすぐ力溜めてスヌーズみたいに耳で叫ぶからね?
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.33 )
- 日時: 2015/01/10 23:02
- 名前: *紗悠*(鎖遊) (ID: xStpW3P0)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「……ふぁ」
や、やばい目覚まし時計の俺が寝てしまった!
時刻は10:00!?
み、美咲!
「……あれ?」
美咲がいない。制服も鞄もない。
もしや、俺の力なしで?
「あ、置き手紙」
美咲からだ。
目覚くんへ
なんだかスヌーズ鳴らなかったから
電池変えておいたよ
あと毎日起こしてくれてありがとう
毎日目覚くんのお陰で遅刻してないよ
もちろん今日もぎりぎりだけどw
これからもよろしくね!
美咲
俺の顔から思わず涙がこぼれた
「なんだか嬉しかったからかも
俄然やる気がでたよ、美咲。
また朝、起こすから寝坊はし過ぎないでね!」
俺は泣き笑いながら針を鳴らし小声で言った。
てなことで、目覚くんです
なんか起こしてくれるって女子の憧れのシチュなのかな
ちなみに紗悠は朝には弱めですw
夕陽 次のお題!
やや久しぶりな三題噺!
「ビニール傘」「蛍光灯」「妖精」
前より少し難しいかな?
がんばれ!
- Re: RAINBOW【合作短編集】 ( No.34 )
- 日時: 2015/01/12 23:21
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
雪の妖精
妖精って信じる?
俺は信じている。
だって、5歳の時本当に会ったから。
* * *
その日は雪が降っていた。
大降り、ってわけではないけどそこそこ積もっていて歩くのが大変だった。
歩いていたがやっぱりすぐこけて大泣きしていた。
その時だった、妖精さんが声をかけてくれたのは。
「大丈夫?」
涙が止まらない目で上を見上げるとぼやけた白いものが見えた。
一瞬幽霊が現れたかと思った。
涙をぬぐうとその白いものは白い服を着たお姉さんってことが分かった。
肌も新雪のように綺麗で雪の妖精だ、と本気で思った。
「立てる?」
優しげな笑みを浮かべて手を差し伸べてくれる彼女に
「べ、別に立てるし!」
少し恥ずかしくて自分の手で立つ。
「そっか、偉いね」
そのお姉さん(今度から雪の妖精さんと呼ぼう)が僕の頭をなでてきた。
「それくらい当たり前だし!」
なんとなく意地を張ってその場は帰った。
* * *
その雪の妖精さんが隣に引っ越してきたのを知ったのは1週間後だった。
挨拶に来たとき俺は驚いて
「ゆ、雪の妖精さん!」
と叫んでしまって驚かれたっけ。
雪の妖精さんは俺が怪我した時の様に優しく笑って
「雪の妖精さんか〜。君、面白いね」
その笑顔に俺は憧れてしまった。
こんな風になりたいと思ったんだ。
* * *
その憧れが好意に変わり恋に変わったのはいつのことだっただろう?
多分中学生の頃だろうか。
その頃雪の妖精さん(本名は幸と書いてゆきと読むらしい)は大学生だった。
家庭教師代わりに来てもらいいろんなことを教えてもらった。
中学を卒業する時思いを伝えようと決めた。
けど、その前に彼女に彼氏が出来たことを知ってしまったんだ。
「すっごく優しくてね、いい人なんだよ」
とろけそうな笑顔で言われた時世界から色を失ったような感じがした。
でも、好きな人が嬉しがっているならその方がいい。
俺は自分の気持ちを押し殺した。
* * *
そして今。
成人式を迎えた次の日、たまたま幸さんと会った。
「ちょっと飲みませんか?」
その言葉に幸さんは快く承諾してくれた。
幸さんの左手の薬指は何も飾られていなかった。
* * *
「付き合っている人、いないんですか?」
俺はこの言葉を言った時後悔した。
折角忘れるって決めたのに。
「うん、今は。和馬君はどうなの?」
冗談ぽく聞いてくる彼女に
「俺もですよ」
と笑う。
彼氏がいないと聞いて安心した気もするが素直に喜べない。
あんなに嬉しそうに話していたのに。
「この年で独身はそろそろやばいなあ」
苦笑いする幸さん。
顔に赤みが差してきた。
どうやら酔ってきたらしい。
「確かにそうっすね」
会話が止まる。
ちびちびと酒を飲むだけの時間が過ぎてゆく。
「そろそろ帰ろうか」
この言葉で俺たちは会計をして帰ることにした。
はじめどちらも払うといって聞かなかったが無理矢理俺が奢ることにした。
「ごめんね、奢ってもらっちゃって」
「別にいいっすよ」
そう言って店から出ると雨が降っていた。
さっきは降ってなかったのに……。
困った顔をしていたのと今の状況で幸さんは何か察したようだった。
「もしよかったら使って」
そう言って渡されたのはビニール傘。コンビニとかで売っているような透明のもの。
「でも幸さんは……?」
このままぬれて帰るのは後々大変だろう。
「大丈夫、これがあるから」
そう言って花柄の折り畳み傘を取り出す。
「じゃあね、和馬君」
そう言って帰ろうとする幸さん。
なんだかこのまま帰らせたら二度と会えない様な気がして腕をつかむ。
「どうしたの?」
不思議そうな顔をする幸さんに俺はこう告げる。
「俺、幸さんのこと好きでした」
なぜこれを言ったのかわからない。
酔いは恐ろしいなと頭の隅で考える。
「そう言ってくれてありがとう。でも、好きな人がいるから」
その好きな人って前付き合っていた人ですか?
まだその人のこと想っているんですか?
そう聞きたかった。
でもその前に彼女は少し寂しそうな笑顔を残し彼女は去っていった。
きれかけの蛍光灯のようにチカチカしている青信号を渡る彼女を俺は呆然と見ていた。
* * *
その日から彼女に会うことは無くなった。
どうやら引っ越してしまったらしい。
なんだか気持ちが曖昧のまま別れてしまったので少し割り切れない気持ちがしたがどうやら彼女は冬に一回帰ってくるという。
やっぱり彼女は雪の妖精ではないだろうか?
* * *
あとがき
なんか意味不明な話になってしまいました……。
深夜テンションって怖いですね……。(文才のなさも怖い……)
さゆ
次のお題!
「鞄」「プリン」「やかん」
で三題噺!
字数・ジャンルは自由で。
よろしく!
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.35 )
- 日時: 2015/03/07 09:41
- 名前: *恋幟あげは (ID: xStpW3P0)
えと、私情によりなかなか来る日が減ってしまい
更新がやや疎かになってました
どうも、元紗悠の恋幟あげはです
最近復活してきたのでこちらも復帰しようかなと
夕陽も多分ついてきてくれるでしょう……
てなわけで次は僕の番のようで
皆様宜しくお願いします!
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.36 )
- 日時: 2015/03/07 23:30
- 名前: *恋幟あげは (ID: xStpW3P0)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
お題『鞄』『プリン』『やかん』
あげははプリン大好き
☆
「はぁ?鞄取ってこい?」
白い部屋。思わず声を荒げてしまった。
「ふへへ〜ごめんね〜恋哉お願い!」
目の前でベットから体を起こし笑う彼女。
笑顔がとても無邪気だ。
彼女の名は金音理乃。
病弱で今日は教室でぶったおれて保健室に送還された。
華奢で病弱故か血色はやや悪いが元気の良さと笑顔の眩しさは群を抜いている。
ちなみに俺の幼なじみだ。
「まぁ……倒れてすぐ送還されたから仕方ないか……」
授業間の休み、ぼやきながら俺は階段を上っていた。
いつも鞄を俺に取りに行かす理乃。
ニコニコ笑顔で当たり前のように俺に頼んでくる。
俺も一応男子なのにな。
まぁ理乃は1mmも気にしてないだろ。
これが普通だった。
鞄を取りに行き保健室で渡す。
俺と理乃の微かなライフラインだった。
ただ今日。
階段から降りた瞬間。
そのライフラインが断ち切られるとは夢にも思っていなかった。
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.37 )
- 日時: 2015/03/09 22:22
- 名前: *恋幟あげは (ID: xStpW3P0)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
鞄を肩に掛け三階から一階へ降りていく。
カツンカツンと高い音が踊り場に反響する。
一階の床に足をつけた刹那、目に疑うしかない光景が目に入る。
「早く!早く担架に乗せて救急車に連れて!」
「は、はい!」
紺の重装備な服に身を包む救命隊員と保健室の先生が慌ただしく話している。
その慌て方は異様で、傍観する俺の胸もざわつかせる。
イヤな予感がする。気のせいじゃない。
そう感じ取っていると保健室の中から担架が運ばれてきた。
そこに横たわるのは華やかなほど煌めく茶髪のセミ。
血色が悪く細い腕。
その腕には赤い珊瑚のブレスレットが。
理乃……だ……
そう明確になった途端俺の手から理乃の鞄は滑り落ちた。
その音に気付いたのか保健室の先生が俺の方を向く。
そうだ。たった軽い発作かもしれない。
そう戒めながらも心は不安ばかりだった。
勇気を出し重く沈む足を動かし先生の元へと俺は赴く。
保健室の先生に理乃の様態を聞いてみた。
そうだよな。軽い軽い発作だよな……
「りっ、理乃ちゃんは……」
虫の死に声のように微かな声は俺の心に太く刺さった。
信じたくもない現実をいきなり突きつけられたんだ。
[まだ続く]
- Re: RAINBOW【合作短編集 ( No.38 )
- 日時: 2015/03/13 23:18
- 名前: *恋幟あげは (ID: xStpW3P0)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
ガラッ
重い扉を開けると白い部屋が瞳に飛び込んできた。
そして白いベットに一人、理乃が空を眺めただずんでいる。
「よ、理乃。プリン買ってきたぞ」
俺の声にきづいたのか理乃はこちらを振り向いた。
「プリン!?ありがと!」
理乃は明るく返す。
しかし理乃の顔は血の気無く蒼白で衰弱してるように見て取れる。
理乃は、癌だった。
若年性の癌、ステージは3。
脳内に腫瘍がありもう完治は見込めないらしい。
医師の診断に理乃の父母と同伴したとき告げられたのは
『理乃さんは余命後約3ヶ月です』
色素のないその言葉に俺の胸は抉られた。
3ヶ月。90日。
あと理乃とそれくらいしか居られない。
理乃の両親は啜り泣いていたが、俺の瞳からは音無く涙が頬を伝った。
「ん〜!やっぱり美味しいね、恋哉!」
「お、おう」
理乃は美味しそうにプリンを食べている。
が、俺には無味のようだった。
カラメルもカスタードも水のように薄く感じる。
虚無、虚構、無色、悲愴、陥落、最悪。
数々の血味泥の黒い言葉が脳内を駆け回る。
理乃にはまだ余命が伝えられてない。
いづれ伝えるべき事実だから言ってあげたいが笑顔の理乃を見てると言えない。
- Re: RAINBOW【合作短編集】 ( No.39 )
- 日時: 2016/01/01 22:41
- 名前: 夕陽 (ID: rBo/LDwv)
お久しぶりです。
あまりに落ちていたのでさゆの話の途中ですが私が代わりにあげます。
今回は物語書きませんが、もし最後の方まで落ちてさゆが来なければ私が短編を書こうと思います。
私が昔さゆにお題として出したものを自分で書くようにしていきます。
さゆ
ごめん、落ちそうだから勝手だけど話の途中に割り込ませてもらうね。
もし戻ってきて話の続きを書く上で邪魔ならレス消すから。