コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: アニメイトには、花が咲く。 ( No.4 )
- 日時: 2014/12/28 12:15
- 名前: アカネ (ID: dBGHGSaq)
01
やっぱり何回来てもここは天国だと思う。
ポスターがある。コミックスがある。キャラソンCDが売っている。
その他僕の大好きなキャラたちの、数えきれないが沢山のグッズが置いてある。
最初に来た時は、こんな聖地とも呼べる場所があったのかと感動してしまった。なお当時の僕の年齢は小五である。
…とまあ、通いなれたアニメイトに久し振りに来た事で異様にテンションが高い僕、"久野奏太"はいつものようにアニメグッズを漁っていた。
最近は勉強が手強くて休日でも中々来れなかったのだ。ちなみに今日は日曜日、かなり大きい部類に入るこのアニメイトは賑わっている。
勿論同士が多いここでも、先程のような発言をすればひかれるのは火を見るより明らかなので心の中にしまっておく。
そしてそこらを歩き回る僕だが、少々興味をひくグッズを発見した。
「お、これはあの『ダブルセイント』のシルヴィアちゃんのストラップ!うーん、シルヴィアちゃんはダブルセインの中で一番好きなキャラなんだけど、買うべきなのか」
ダブルセイント、聖なる御子ー聖人として運命を決めつけられた双子が成長していくストーリーのライトノベルで、現在大人気となっているのだ。
僕の中でも一大マイブーム。今一番お気に入りのライトノベルだ。
大分前からだがアニメも始まっているので、それも録画して見ている。
ちなみにシルヴィアちゃんというのは、ダブルセイントに出てくるヤンデレ系ツインテール少女である。主人公の双子のうち一人、ツキヤに以上な程執着し「貴方を殺したいくらい愛してる」とか笑顔で言うので、一部のファンには異様なくらいの人気を誇るキャラだ。
かくいう僕もそのファンのうちの一人だが。後にアニメのそのシーンでは、そっくりそのまま台詞が再現されシルヴィアファンが歓喜した。
今思うとよく修正されなかったと感じる。
「はっ」
危ない。うっかり物思いに耽ってしまった。
ここでクヨクヨしていても何も始まらない。僕はフックにかかった状態で前述のゲスい表情を浮かべるシルヴィアちゃんを見、そして僕のお財布と相談する。
『お財布よ』
『なんだ』
『これを買ってもよろしいでしょうか!』
『お前の食費が減るんだったらいいぞ。そのストラップ、金属製で結構大きいから千円以上するだろう』
心は決まった。よし、このストラップを購入しよう。
食費が減るなんていい。高校生の独り暮らしは時々辛い物があるが、グッズを買ってもあまりぐちぐち突っ込まれないのだ。
そう決めて、僕はストラップに手を伸ばしカウンターに持っていこうとする。
だがしかし、意気揚々とそのストラップをカウンターに持っていこうとした瞬間だった。
「え?」
「え?」
誰かの手と僕の手がぶつかった。
どうそらその相手もシルヴィアちゃんのストラップを買おうとしているようだ。
でも、相手はフードを被っておまけにちらりと覗く顔面にはサングラスをつけている。
アニメイトにはわりとコスプレイヤーさんが多いんだけど、一体なんだこの人は。
よし、シルヴィアをかけるというのなら。
その勝負、受けて立つ。
…いいえ嘘ですよ。だけど、こちらを凝視してくるのはご遠慮願いたい、不審者さん。