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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 心魂盟奴 〜ソウルメイド〜 ( No.1 )
- 日時: 2014/11/23 21:14
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: /v7BfUQP)
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眼下に広がる深い緑森の波、小高い山望が幾つも見渡せる丘陵。
東の空が粛々と淡く白み始める。
鋭峰の合間から少しずつ顔を覗かせ照らし出す曙光。
暁。
明か時、夜明け、日の産声。
琉貌の暁天が生けとし生けるものの目覚めを徐々に告げ、柔らかな温もりと共に活命の祝福をもたらす。
その賛美たる光りの兆しを丘の上の逞しい白馬に跨る銀装の鎧に身を包む青年は静かに山間から伸びる陽の影に僅かながら眼を細める。
その眩しさに、その儚さに。
それは戦友を失った哀しみによるものなのか。
それとも愛するものを故郷に残した悔恨なのか。
あるいは他の何かか。
憂いにもの想う若者の後ろに数歩下がり、慎ましくも慇懃に控える十人程の従者と思われる者たち。
うら若き美しい少女。
皆一様に華奢な躰に白磁のエプロンスカートを飾り、頭部に白亜のカチューシャを頂く。
ゆっくりと昇り立つ曙陽が朱く、鮮やかに色付かせる
始まる。
今日これより一日の豊穣なる時を刻む。
しかし青年は日が昇るにつれ、端正な顔立ちに暗い翳りを落とし、暗鬱と暮れる瞳を揺らす。
終わる。
終わるのだ。
今日この日を以って、終わりが訪れる。
終焉の時を迎える。
世界が。
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