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Re: 焼き餅は美味しくなくなくないのです【短編】 ( No.12 )
日時: 2014/12/11 16:44
名前: あめしぐれ ◆adhRKFl5jU (ID: 8ZwPSH9J)



「……そっか、先生の言った通りだったわ……」


 お母さんがうつむいてしまった。


「お医者さんが何か言ったの?」

「あのね、れい。れいは一部の記憶を失っちゃったみたいなの……」


 ……記憶を失った? 何それ、漫画みたい。


「そんなわけないじゃんかー。お母さんのことも覚えてるし、お父さんの顔も覚えてるよ?」
「ほら、この前習った歴史の問題だって——」

「一部、なの」
「一部の記憶が消えちゃったんだよ」


 じゃあその“一部の記憶”って何?


「お父さんはもう、れいが11才のときに死んじゃったんだよ……」

「……え? お、お父さん死んじゃったの……?」


 うそだ。うそだうそだうそだ。大好きなお父さんが、強くて優しいお父さんが死んだなんて……っ。


「これはスマートフォン。今年の初めにガラケーから変えたんだよ。れいが選んでくれたデザインのやつ……。」


 駄目だ。全然思い出せない。頭の中ごちゃごちゃだよ……っ。

 お父さん……どうすればいいの? 何も思い出せないよ……助けて……。