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Re: 【戦国】殿と家臣と【短編集】 ( No.8 )
日時: 2014/12/08 10:04
名前: 捨駒 (ID: gM3fL3C0)


怒る小十郎を無視し、調理場へ足を運ぶと大量の芋と枝豆。

「…ごじゅ、うるせーしなんか作るか。」




「そして、こうなったと。」
「まあな。うまいぜー、青のりとも合うし、南蛮から伝わったちょことも合う。塩をかければもっとうまい!」
「アンタ。馬鹿ですか。」

大量にあった芋をふんだんに使った。悪く言えば、アホぐらいてんこ盛りにされた薄切りの芋を揚げたもの。香ばしい香りはなんとも言えないが、また伊達家の兵糧が無くなったのかと思うと小十郎は涙が出てきそうになった。

横に並べられた緑色の餅はなんとか食べられそうだが、肝心のこの芋の素揚げをどうするかが悩みの種だ。

「とうっ!」

いきなり聞こえる声は上から勢いよく降り、積み上げられた書物の上へバランスよく着地する。

「お前は…」

「名前はと聞かれたら!答えてあげるが世の情け…」
「前田慶次!」
「直江兼続!」

右側に立つ、からの大きな男は派手な着物を着崩し、煙管を懐から取りだしお構い無くに吸う。
その左にはきっちりとした着こなしだが、髪を高い位置で結い、顔に派手なペイントを施した男。

「戦乱の世駆ける二人には!」
「景勝様の作られる、清い明日が待ってるぜ!」

拍手をして喜ぶ政宗に直江は照れ臭そうに言う。

「別に、お前らが困ってそうだから来てやったとか…違うからな!」

相手はあの前田慶次と直江兼続。
小十郎は一応、刀に手をかける。

「あー怒んないで。」
「…は?」

表情を一気に崩した慶次に首を傾げる。山盛りの芋の素揚げを指差し笑いながら言った。

「それさ、欲しいんだよ。美味そうだし。」
「…どうします?毒でも盛りますか?」
「おい、丸聞こえだぞー。」

警戒する家臣をよそに、政宗はどこかへ走っていく。目を丸くした二人に小十郎はお茶を出し、一応だが客室へ案内した。
暫くすると半分ほどを詰め込んだ大きな箱を差し出して青のりとちょこを別の容器に移したものを渡した。

「また今度、塩おくってよ。」
「おう!」

という微笑ましい事情のもと、三成にぽてちが渡りました。

政宗がずんだ餅を作ったという事実はありますが、ぽてちは作っていません。

「……あ。」

『重実の事、忘れてたわ…』