コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔断聖鎧ヴェルゼファー ( No.15 )
- 日時: 2015/06/21 00:16
- 名前: Frill (ID: REqfEapt)
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【第二幕】
出逢い 白き虚ろの少女
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「はあっ・・・はあっ・・・」
薄暗い石床の回廊。
何処をどう走ったのか。
ロベルトは倒壊する遺跡の奥を唯ひたすら闇雲に駆けた。
両腕には庇うように少女を掻き抱いて。
軽い。
少女の体重もさることながら、自身の身体が羽根の様に軽い。
元来、腕力や体力勝負にはからっきしのロベルト。
自分でもモヤシのようにひょろひょろしているのは自覚があるが、それでも小柄な少女とはいえ、人一人分の重さを負荷していてもほとんど苦にならないのに少なからず驚いた。
この危機的状況で所謂、火事場の馬鹿力が発揮されたのか。
今ならハンスと格闘しても互角ぐらいかもしれない。
そんな事を考えていて、ふと、足を止める。
周りを見渡すといつの間にやら遺跡の更に深部だろうか、何処か解らぬ場所を歩いていた。
遠く、僅かに響く破音、まだ遺跡の崩壊は続いてるようだが此方の方までは被害は無いらしいのでようやく安堵した。
しかし、自分がどうやって此処まで来たのか、皆目見当がつかぬ事に今更ながら気付いた。
崩落から逃げる事に夢中で道順など憶えていない。
おまけにハンスともはぐれてしまった。
アイツは無事逃げ出せたろうか、鎧機があるので大丈夫だと思いたい。まあ、自分とは違いサバイバル関連にはアイツのほうが生存能力が高いのは間違いない。
今はこの迷路の如く構える遺跡をどうにかしなければならないのだ。
「・・・むうぅ、まいったな。 ・・・俺とした事が、冷静さを欠いた行動だった・・・。 しかし、あれは・・・」
地下大広間で起きた遺跡崩壊時の不可思議な衝動。
まったくもって自分らしからぬ行動。
先程のはなんだったのだろうか。
ロベルトは自身の腕に抱いた静かに瞳を閉ざす少女の遺骸を見つめる。
どうして己はこの正体不明の少女の亡骸を守ったのか。
それに頭の中に響いた謎の声。
まるで自分では無い何者かに突き動かされたような・・・。
尽きることの無い思考の波に揉まれている間にもロベルトの足並みは自然に遺跡の奥へと進んでいた。
普段なら遺跡で迷えば大人しくその場で動かず待機して仲間の迎えを待つであろうのだが、何故か確信があった。
根拠もへったくれも無いのに何故か自信がある。
このまま進めば大丈夫だ、と。