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- Re: 魔断聖鎧ヴェルゼファー ( No.17 )
- 日時: 2016/03/05 11:21
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: XsTmunS8)
迸る白い閃光。
視界一面に交錯し、ホワイトアウトする。
宙を浮く奇妙な浮遊感。
同時に身体全体を打ちつける鈍い衝撃が襲った。
「ぐはっ!?」
僅かに空中浮遊を味わった後に背中に強烈な痛みを感じた。
「ぐ・・・、ど、どうなった・・・?」
全身を走る痺れるような鈍痛と今だ眩暈する眼を無理矢理こじあけて状況を確認しようと試みる。
「うっ・・・」
眩しい。
細めた目から射し込む鋭い日の光。
青い大空。
立ち込める嗅ぎ慣れた土の匂い。
「外、か・・・?」
密着する大地の感触、自分は仰向けで少女を抱えたまま大地の上に倒れている。
この体の痛みは放り出されて地面に叩きつけられたからか。
痛みを堪え、なんとか首を回らせ辺りを見渡す。
見渡す限り鬱蒼と茂る密林。
中央には開けた場所があり、それなりに大きな湖水があった。
別のところに視線を向ければ、少し離れたところに草木の中で蔦に覆われほぼ全長が隠れたポータルがある。
どうやら無事ポータルで遺跡から脱出したみたいだ。
ここは遺跡からそう離れた場所ではないのかもしれない。
「ふう・・・」
ロベルトは静かに息を吐く。
安心したからか一気に虚脱感が駆け抜ける。
あれだけの魔物に襲われよく助かったものだ。
「・・・ん?」
背中越しに僅かに地面の揺れを感知した。
まだ遺跡の崩落が続いているのか。
ハンスは無事に逃げ出せたのだろうか。
まだ揺れる地面。
それどころか余計に振動が強くなってきている。
非常に嫌な予感がする。
「・・・おいおい、冗談だろ?」
ロベルトの思考と大地の揺れに比例するように湖水の水面がブクブクと泡を噴き出している。
上手く逃げおおせたと思ったのに。
爆発するように墳上したまるで間欠泉の水柱。
泡立つ湖の水中から勢いよく、それが飛び出した。
さんさんと照り付ける日光に照らされ、ヌメリとした黒い光沢を放つ蛇によく似た異質の怪物。
巨大な口角を裂き開き、聞く者に嫌悪を抱かせる奇怪な咆哮を発した。