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- Re: 魔断聖鎧ヴェルゼファー ( No.9 )
- 日時: 2015/02/01 02:03
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 4xvA3DEa)
暗澹たる雲の波間から厳かに降誕する。
神々しい光輪をその身に纏い煌びやかな十二の光翼を背に翳す。
それはまさに伝説に謳われしもの。
それは見るもの全てに畏敬と希望を抱かせずにはいられない。
超然光輝。
天よりの使徒。
絶対の断罪者。
地上を我が物顔で闊歩する不忠者に裁きを与える神の使いさながら。
だが、突然空間に歪みが生じその姿が乱れ出す。
それだけではなく、周りの景色も砂嵐のようにノイズが奔る。
「おい! 突然どうした!? 何かおかしくなってるぞ、ロベルト!」
先程まで鮮明に描写していた『映像』がぼやけて崩れ始め、判別が殆どつかぬほどになってしまった。
「・・・恐らくこの遺跡の映写装置に異常が起きたんだろう。相当昔のモノだからだろうか、仕方ないのかもしれないが・・・これから起こる事が実に興味深いのに残念だ・・・」
戸惑うハンスに実に残念そうにするロベルトは最早判別難しい壊れ乱れる画像に映る白い影体らしきものを見つめていた。
白い降臨者はそのまま黒い魔物へと飛突する。
そして諦観する二人をまるで拒絶するかのように空間が暗転し、闇に包まれた。
ふと二人が辺りを見回すとそこは先程のだだっ広い遺跡の空間で目の前にはオベリスクが何事も無く屹立していた。
「・・・さっきのは一体何だったんだ? あんなもん見せられてもどうしようもないぜ、まったく・・・」
頭を掻きながら呟くハンス。今だ覚めやらぬ人外奇天烈な出来事を思い出し懐から煙草を取り出すも、咥えたまま呆然としていた。
「・・・最後に出てきたあれは推測だが、鎧機だったと思う。だが、あの巨大な魔物と戦っていた大勢の機体とは何処か違っていた・・・あれは・・・あの場景はまるで古代聖典そのものを模している・・・? そうだとしたら・・・」
何か考えるかのようにロベルトはオベリスクに描かれた壁画を再び見上げようとして釈然としない違和感に築いた。
「ん? この石碑、立ち位置が前と変わって・・・ おいっハンス! 見てみろっ! 石畳に隙間が開いているぞ!! 地下に通じる道だ!!」
「何!? 本当か!!」
呼び掛けるロベルトに我に返ったハンスが急いで駆け寄りその隙間を調べる。
「・・・よし、これならなんとかなりそうだ。鎧機でその石床を動かしてみるか。このまま手ぶらで帰る訳にはいかねえからな!!」
すぐさまガルデンに搭乗したハンスがアームを巧みに駆使し、器用に石床を掴むと全力で持ち上げるとズドンと地面を揺らし脇にどかされた。
そこには人ひとりが入れるかどうかの小さい入り口。
奥へと続く階段が地上の空気を静かに吸い込んでいた。