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Re: EUREKA ( No.101 )
日時: 2015/03/21 01:15
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: ありのーままのー……(´・ω・`)


「……んみゅ?」
「風蘭、What's the matter?」

 風蘭が起き上がると、今まで膝枕をしていた鈴芽はどうしたのか問う。

「んぅ……変な風吹いてる」
「strangeな風?」
「……? えとね、あっちから、悲しい風が吹いてくるの」
「悲しい風……。なるほどな」

 真白は1人だけ納得し、そのすぐ近くにいた千破矢と蓮は頭に「?」を浮かべる。
 窓から外を眺めていた日向は、真っ赤な空を眺めながら溜め息を吐く。その様は本格的にヒロインのようでゲフンゲフン。

「風蘭」
「なぁに?」
「“1人で”詩音を迎えに行ってやってくれないか? 廊下を出て右をまっすぐ、突き当たりの部屋にいる」
「わかった! そこにシオンがいるんだね?」
「えっ!? 1人……?」
「ああ。もう大丈夫だろう。……今はむしろ詩音が危険だな」

 真白の最後の呟きは誰にも届かなかった。風蘭は背中の羽を使って勢い良く部屋を飛び出した。
 紅色のカーペットの敷かれた廊下を風蘭は低空飛行で言われた通り進み、突き当たりの扉に辿り着く。——ここだ、と。風蘭は“風”で感じていた。ノックをしてから扉をゆっくり開くと、ところどころにおもちゃが散らばっている部屋があった。そして、部屋の端にあるベッドの上に、見覚えのある菫色。

「シオン……?」
「……っ。風蘭、どうしたのですか?」

 詩音は風蘭の方を見ない。風蘭が詩音の目の前に来ると、詩音はベッドに突っ伏してしまう。

「どうしたの?」
「……なんでも、ありませんよ」
「みゅー……。…………シオン、泣かないで」

 詩音の頭を撫でながら、風蘭はベッドによじ登る。

「何故、泣いてると思うのですか?」
「風が震えてて、悲しい……、みゅう……、声がね、震えてるの」

 詩音の声は、他から聞けばいつもとは変わらないだろう。風蘭は気を使って言いなおしたが、つまりそう言うこと——震えていて悲しい風——なのだろう。
 無論、真白は風蘭に何も話していない。

「風蘭は、優しいですね……」
「お話聞くよ?」
「いえ、良いです。ですが——」
「ぴゃあっ」

 むくりと詩音が起き上がったかと思えば、風蘭に抱き付いて再度ベッドに倒れ込んだ。

「しばらく、このままでいてくれませんか?」

 ——そう言った詩音は、風蘭曰く“落ち着いた詩音”ではない。“ありのままの詩音”だったという。