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Re: EUREKA ( No.108 )
日時: 2015/03/31 16:45
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: いつの間にかページが増えてる事件(歓喜)


 真白たちがトイフェルらと遭遇した頃、豪雷、鈴芽、風蘭は宿で日向と千破矢に事情を離していた。——知っていることは詩音が危ないということだけだが。

「探知能力? あれ使えるのは真白と詩音だよね」
「あーもう、こんな時に詩音がいてくれたら詩音見つけれたのに!」
「何言ってんだこいつ。普通真白がいてくれたらだろ」

 ちなみに一応ツッコミをしてくれるときがある豪雷は今使い物にならない&日向は無意識ボケ派のため、ツッコミは今現在千破矢のみ。

「……豪雷と風蘭の“詩音LOVEpower”でなんとななるでしょ」
「シオンラブパワー!?」
「てかお前らさ、ロボ2体が探してるんだよな?」
「「「あ」」」
「……ててててーん」
「!?」
「豪雷たちは、馬鹿の称号を貰った」
「千破矢が壊れた……。いや、ある意味正気!?」
「結論、お前らさっさとそこで待ってるロボ連れて詩音助けに行きやがれ。こいつら使えなくてごめんな」
『『だいじょぶ! いってきましゅ!!』』
「もうスタンバッてたんだね!?」

 いつの間にか足元に待機していた2体を連れて、3人が出て行く。背後から、足音が1つ響いた。


 *


 冷たい金属の感触。風が頬をかすめ、目を開く。まず見えたのは縦に並んだ複数の棒。そしてそれが上へ行くに連れ曲線となっている。地面は灰色の鉄で、その真ん中に自分が倒れていた。
 詩音は落ち着き、思考を巡らせる。——そうだ、自分は今“餌”なのだ。

「おはよう。意外と早かったな。気分はどうだい?」
「五月雨、狼」

 檻から下を見下ろすと、銀髪に狼の耳の獣人——五月雨狼がいた。

「覚えくれてたのか、光栄だな。さっきウサギみたいなのが来たんだが、それお前の仲間だろ? えーっと……あ、この檻は相当の魔力を費やすことになるぜ」

 辺りは夕焼けに染まり始め、朱色の光が自分たち以外誰もいない広場を照らしている。詩音が捕らわれている鳥籠のような檻は、しっかりとは見えないが上から吊るされており、少し揺れている。
 詩音が檻に手を掛けると、黒い電流のような物がはしり、全身を激痛が襲った。声をおさえて悶えていると、狼がほらなといった表情を浮かべた。

「とりあえずお前は本気で捕らわれのお姫様ならぬ、王子様だからな。助けに来るのも男だったりするかもだけどー」
「なら、……私を倒した方が楽でしょう? 肉弾戦では到底敵いませんし」
「お前さァ、この俺がわざわざ魔王様の魔力身体に打ち込んで砂漠に1人で行った理由とか、考えたら?」
「……」
「いやあ。あの武士も強いよなぁ……。仲間の——西園寺詩音君のためならもしかすると、自分から死を選ぶんじゃないか?」

 ——そんなことしないけど。狼が小声でそう呟き、遊び半分に挑発する。だが、狼は何かに気が付いたように動きを止め、口角をあげた。

「——来たッ」