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Re: EUREKA ( No.109 )
日時: 2015/04/06 03:02
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: スランプですねわかります(真顔)←


 ニベアとフェルームを先頭に、3人は路地裏を走っていた。

「ましろんどこにいるんだろう……」
「今は詩音が重要だ」

 ニベアとフェルームのすぐ後ろを飛んでいた風蘭が唐突に上昇する。

『『えっ』』
「風蘭!?」
「何をして……、ああ、なるほどな」

 豪雷は正面を見て納得したように頷いた。鈴芽も豪雷の視線の先を見て驚愕する前に納得してしまう。
 どこからか吊るされた巨大な鳥籠の中で蹲って悶えている詩音。その下で不敵な笑みを浮かべている獣人の姿。

「鈴芽、真白が作ったあの……」
「monsterball?」
「それ。今持ってるか?」
「Yes! 使った方が良い?」
「頼んだ」

 鈴芽が2体をボールに避難させ、少し前へ移動する。

「久しぶりだね」
「俺はお前のことを知らないが」
「詩音君は覚えててくれたんだけどな。五月雨狼でーす」
「ああ、詩音に呪いを掛けたというあいつか」
(どうしようあたしから見たらこれ、詩音を巡った修羅場にしか見えない)

 鈴芽の心情を知る者は(聞いていたのなら)詩音だけだろう。
 刀を抜きながら豪雷は歩みを進め、狼も同じく距離を近づけて行く。

「そっちの子はどうするの?」
「鈴芽、お前は来るな」
「でも……」
「大丈夫だ」

 豪雷の威圧混じりの発言で、鈴芽は渋々後ろへ下がる。
 丁度その時、風蘭が檻の近くまで来ていた。詩音の名を呼ぶと、詩音はゆっくりと体を動かし、視界が風蘭の姿を確認する。

「風蘭……?」
「シオン。この檻、触ったらビリビリってするよ。どうしたら良いかな」
「……ビリビリだけで済んだのですね。私にもわかりません」
「うぅ……」

 苦笑まじりの詩音と、けっこう真剣な風蘭。実際風蘭の手は完全に檻に触れているが、詩音が触った時のような黒い線は出ない。

「内側からは、ダメなの?」
「こちらからでは手出しできません。危険なのでこの場を離れて下さい」
「……やだよ。絶対に助けるもんっ」
「ですが」
「シオンはふうが助けるっ……!」

 いつもと違いなかなか引かない風蘭。詩音は思わず檻に手を付けてしまった。そして——激痛を堪え、自身の魔法を風蘭に放った。詩音がその場に倒れるとほぼ同時に、風蘭のいた場所にナイフのような物が通った。

「——……っ」

 魔法で数メートル飛ばされた風蘭は、その光景を見ながらその場に立ちすくむしかなかった。