コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.110 )
- 日時: 2015/04/12 03:14
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 三年生、なっちゃいましたよ
(真白がいたら確実に出来なかった話を書けるから豪雷と鈴芽のコンビは大好きなんです。詩音と風蘭は俺得なんです!)
(そして何故だろう。詩音と書いたら豪雷と打ちたくなってしまう……)
頬をかすめたナイフは風蘭へ向かって飛ばされた。——はずしたのではなく、故意的に。狼が風蘭の存在に気付いたのである。
「ち、はずしちゃったよ」
「今は俺との勝負に集中しろ!」
「わかったよ……っと」
「っ!?」
描写するのも可哀想なほど見事に豪雷は、狼の足にを引っ掛けられてその場に転倒する。狼が地面にダイブした豪雷の刀を奪い取り、止めを刺そうとする——。
「……どけよ」
「refuse……、断る」
「そっか」
割り込んで来たことに怒ったのか、止めを刺せないことに対する苛立ちか。力を込めて刀を押して来る狼。鈴芽が今防御に使用しているスタンドマイクは悲鳴を上げている。
「……じゃ、バイバイ」
その瞬間、刀を押さえていた物は使い物にならない棒と化し、その棒を操っていた者——鈴芽の腹部へと、刀は突き刺さった。
ナイフの飛んで来た方向を見ていた2人——詩音と風蘭は、驚愕した。そして——
「……ぁ。あ……、……、…………」
次に聞こえたのは、まさに奇声のそれ。すぐそばにいた詩音はもちろん、それは狼や豪雷の耳にも容易に届いた。
——大切な人がいなくなる。そんなの、嫌だ。
気付けば風蘭を中心に、巨大な風が吹き荒れようとしていた。
「っ、風蘭!!」
桜色の瞳が徐々に紅く染められていく。力が抜けて行く身体とは逆に、風は強さを増す。まだ発生して間もない強風——魔法はまだ小さい。とは言えそれは、檻を容易に砕く程の威力を持っていた。それを確認した詩音は迷うことなく風蘭のもとへと飛び込んだ。風による“攻撃”により、身が引き裂かれたが構わない。髪を縛っていた紐を解き、勢い良く風になびく髪の毛。
詩音が風蘭の身体を抱きしめ、安心させるように背中を摩り、髪を撫でた。そして、
「大丈夫ですよ」
小刻みに震えている幼い身体が落ち着くまで。血の色に染まってしまった瞳が、元の透き通った桃色に戻るまで。詩音は風蘭から離れずに、ゆっくりと地面に下りる。
「しおん……?」
「はい、私はここにいます。心配することなど、ありませんよ」
風がやみ、檻が地面へ打ちつけられる音に紛れて聞こえた風蘭の声を、詩音は聞き取った。風蘭は一度瞳を閉じて、詩音に抱き付いた。
「ふうはね、みんなとお別れ、したくないの」
そう言って瞳を開いた風蘭の瞳は、いつもの桜色へと戻っていた。