コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.112 )
- 日時: 2015/04/12 05:12
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
「ごめ、ちょっと待って。これ、どう言う状況?」
「見ての通りでございます」
「まあ、……そうだね。うん……?」
宿の前で偶然一緒になった真白と蓮。詩音は主に服が風により破れていて擦り傷が見える。背中には負傷した鈴芽と、その後ろで心配そうに顔を覗かせている風蘭。豪雷はところどころに傷があるが、そんなことよりも背負っている人物に蓮は焦っていた。
「まあ、ごたごたしていたのだろう。傷の手当ては室内でしよう」
真白がそう言いながら宿の扉を開けて、日向たちのもとへ——二階へと走り出す。蓮は苦笑しながら豪雷たちを先に扉の中へ押し込んだ。すると、上で短い悲鳴のような声が聞こえた。
目の前の光景に真白は待ち望んでいたにも拘らず動揺を隠し切れなかった。
「あ、おかえり!」
「おー、真白か。……あ、なるほど了解」
千破矢は珍しく慌てた様子の真白を見て指を鳴らし、白いフードを被った人物の名を呼ぶ。
「カインさん。真白が……っとわぁあ!?」
直後にカインへと飛び付く真白に、千破矢は微笑む。
「真白、久しぶり! 元気だった? ……迷惑かけたらしいね、ごめん」
「否……。無事で、良かった……っ」
その声は、心なしか震えているように思えた。千破矢が日向を引っ張って一階へと下りて行った。
*
「千破矢って空気読めるんだね!」
「んな!?」
「さすがツッコミでございます」
「わけわかんねぇよ!!」
一階で事情を説明し終え、早速いじられる。
ちなみに真白の手が離せなくなったため、現在進行形で日向の科学的治療が施されている。鈴芽に関しては止血をして、あとは真白に丸投げする予定。
詩音と風蘭は擦り傷程度(一部包帯)のため、即終了。風蘭は詩音の上に座っている。豪雷も一番激戦だったはずなのに傷は少ないため真っ先に治療終了。現在は一番傷の深い(貫通寸前だった)鈴芽。
「sorry」
「いえいえ、大丈夫?」
「このくらいじゃ死ねないよ! ったぁあ!!」
「お願いだからお腹から叫ぶの止めて!?」
まさに歌を歌う勢いで意気込む鈴芽を日向が慌てて止める。豪雷が申し訳なさそうにしていると、鈴芽はまるで馬鹿にしたような声で
「あっれぇ〜? もしかして、『俺があそこでミスさえしなければ……』的なこと考えちゃったり?」
何なら声真似までして嘲笑。
「あれはあたしが勝手にやったの。だから豪雷は何も悪くないよ?」
にっこりと笑って豪雷の目の前の席に座る。日向は続いて気絶している狼の治療を開始する。
この時、風蘭が2人に向かって無邪気な笑顔を振りまいて質問した。
「——2人は、お付き合いしてるの?」
「「おいこらシオン!!!」」
「あ、バレましたか。ふふふふふ♪」
((ああもう駄目だコイツら))
この後、真白たちと合流してから食べたムニエルは美味しかったらしい。