コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.125 )
- 日時: 2015/05/24 04:18
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
——それは、数年前の話。
老婆は“氷族”だが、氷姫がいなくなり、竜人に襲われて町は破滅まで追い込まれてしまった。幸い竜人は去って行き、氷族は全滅まではなかった。だが生活面ではとてつもなく不便になってしまった。
そんな時、“由利真白”と名乗る少女が老婆達生き残りに食物と生きる勇気をくれたのだ。
「……真白様は『生きていればいつか報われる』と仰った」
(((ベタァ……)))
「その隣にいた白いフードの男の人はたしか、兄だと言っておった」
「兄?」
「腹違いの兄弟だ、と真白様は言っておられた……ん? 白いフードの方だったか?」
この瞬間、全員の脳内で“カインは無罪”ということが明らかになった。真白の兄弟が極悪人とか天地がひっくり返ってもあり得ない領域の話。ましてや日向のお兄ちゃんバージョンのような弱い話し方で裏切り者となってしまえば、次に疑われるのは日向である。
「真白は僕たちの仲間です。今は一緒に旅をしてます」
「そうなのですか。……もしや、魔王討伐の旅へ?」
「……よくわかりましたね」
「あの時も、そう仰っておりました故」
「真白様へ会う時、こうお伝えください。『——終末を食い止めるは氷姫の祖。召喚したるは己が身体』……と」
にこりと笑って去って行く老婆の後ろ姿を目で追い、蓮はふむ、とうなずいた。
「終末を食い止めるは氷姫の祖。召喚したるは己が身体。……どういうことだろ?」
「いつかわかるよ。多分。それ伝えるためにもさっさと戻ろう!」
蓮が荷物を持ち直してそう言い、一同は再び歩き出したのであった。戻って見ると、予想的中、真白は完全にドリームワールドにいた。豪雷が鈴芽の荷物を置いて脱力し、詩音は彼岸花を豪雷の頭に置いて遊びだす。鈴芽も便乗しだしたのは放置。蓮は荷車の上で一人、溜め息を吐いた。
「はあ……」
「どうしたの?」
「ひゃあっ!?」
隣から声をかけられ見てみると、風蘭が頭に「?」を浮かべながら蓮を見ていた。
「嫌なこと、あったの? 悲しいような、変な風がびゅーってなってるの」
「んー、なんかね、時々思うんだ」
「——私、ここにいて良いのかなあ、って」