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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.126 )
- 日時: 2015/05/17 05:14
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 実力テストは二重の意味で終了しました。そしてスランプ発動。
千破矢の思惑通り、カインは完全にピュアツッコミ系男子を見失っていた。
出来る限り人が少ない場所を選んで、カインは目を閉じ“魔力探知”を行う。——が、やはり失敗。だが、一瞬だけ覚えのある魔力が感じられた。一応千破矢らしいものもあった。というかむしろその気配の近さに驚いて失敗した。
ただ、その『覚えのある魔力』の方が自分に近い。それこそもう、背後にいるような——
「よ、あまねちゃん」
「……フェイ」
振り返ると、そこには赤毛と悪魔のような羽を持った、カインと同年代ほどの少年が立っていた。にやにやと笑いながらあと数歩でぶつかるほどに距離を詰めると、長剣を取り出してカインへ突き出した。
「早速だが、オレと闘え」
「ごめん。今はちょっと……」
「へえ……。また、逃げるんだ?」
「違う。……用が済んだらまた戻ってくるから」
「お前はそうやって、また偽善者となる」
「違うッ! 違う、違うんだ……ごめん」
「ごめん」。そう呟きながら、カインは“翡翠刀”を出現させた——。
*
走っているうちに、路地裏へと入りこんでしまった。千破矢は溜め息を吐いた。
「さすがに、見苦しかったか……」
今思えば、グダグダな理由。おそらく嫉妬だのなんだのが混じったのだろう。カインのツッコミは尤もだ。
探して、謝らないと。そう思ったが、千破矢は真白や詩音のように探知能力なんてない。他に術があったとしても(主に作者の頭脳の問題で)今の千破矢には思い浮かばないだろう。
路地裏を出ると、すぐ近くでドン、と大きな音が聞こえた。急いで建物の陰に隠れると、音のした方を見た。
「おいおい……まさか、それだけじゃないよな?」
壁に打ち付けられて地面に崩れ落ちているのは、たった今探そうとしていた存在——カインだった。
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