コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.127 )
- 日時: 2015/05/17 06:28
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: ヒロイン交代……? でも相変わらず蚊帳の外だねっ……。
「あまねちゃんは成長しないのかな? ……オレ、お前のそういうとこ嫌い」
相手の首元に長剣を当てながら睨みつけるフェイ。その姿は、千破矢からみても恐怖でしかなかった。
「……あまねちゃん、もしかして気絶?」
じゃあ。そう言いながらフェイは迷うことなく千破矢の眼前に立つ。
「よし、お前だな」
両手をがっちりホールドされた混乱中の千破矢には、蹴りをかます・魔法を使うなどの発想はなかったという。そのまま連行された千破矢は身長的にも引きずられるようなかたちでカインとフェイの間に立たされる。
「こいつがどうなっても、良いの?」
——今までありがとう楽しかったぜ皆。千破矢が心の中でそう思った時だった。
「……真白の友だちに、手を出すな!」
ぐらり、と何度もバランスを崩しながらやっとのことで立ち上がると、カインは再び刀を構えた。それを見たフェイは不敵に笑い、千破矢を解放する。
フェイは炎を纏った長剣を、カインは詠唱を叫びながら、同時に斬りかかる。
「翡翠刀奥義——片時雨!!!」
「はぁぁあ!!!」
互いの武器がぶつかる勢いで、カインのフードがとれる。その時だった。カインの持つ刀が淡い光を放ち、フェイの炎が凪いだ。
*
目の前で仰向けに倒れているフェイを見ながら、カインの体も壁に沿ってずるずると落ちて行く。
「っう……」
腹部を押さえながらカインが呻く。すると、隣で緋色の少し癖のある髪の毛が見えた。
「大丈夫か? ……俺、真白とかみたいな感じで気が利かねぇから、治癒魔法とか使えないんだ」
「うん、……大丈夫だよ。……ありがとう」
「あと、さっきはその……、ごめんな」
突如告げられた言葉に、カインは一瞬呆然として。
「……ふふっ」
「ッ?!」
笑いだした。不気味に思った(と同時に笑われたことにショックを受けた)千破矢が焦りながらカインの目の前にしゃがんだ。
「え、えと……。質問のしかた変えるわ。頭大丈夫?」
「大丈夫大丈夫! 痛みなんか吹っ飛んだよ! 頭は比較的良い方だから問題ない! さてと、……」
「……」
2人がフェイの方を見ると、視線を向けられた本人は腕で目を隠して溜め息を吐いた。
「……好きにしろ」
それを聞いた時、千破矢はなんとなくカインが笑った理由を理解した。
「ふふ、あはは、ははははっ」
「え、ちょ、カインさん怖いっす……」
声を上げて笑いだす姿に、もはや恐怖しか感じられない2人。ひとしきり笑った後、カインは治癒魔法を呟く。自分とフェイの傷を治してからゆっくりと立ちあがった。
「フェイ、どうする?」
「……は?」
「ちなみにその羽、そこら辺で出してたら高確率で刈られるよ?」
「わかってらぁ」
さらりと爆弾発言。
——この後話が噛み合わない2人を見かねて、千破矢が2人を荷車まで強制連行したという。