コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.132 )
- 日時: 2015/06/02 11:47
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 真白の口調がくだけてきた嬉しい((
「……不覚」
真白は状況を悟ってそう呟く。
——カインの本気ほど、恐ろしいものは今まで見たことがない。
背中に突き刺さった複数の槍。そのうち何本かは体を貫通している。
「——あぁ」
うつ伏せに倒れるフェイを支え、ゆっくりと地面におろす。少しでも傷が癒えるように、治癒魔法を発動する。
槍の飛んできた方向を睨みつけ、刀を抜いた。
「……ゆるさない。絶対、ゆるさない」
ゆるさない。ひたすらそう呟き続ける。刀を持っていない方の手を振り上げると、すぐ隣の屋根から、悲鳴とともに成人男性が転げ落ちてきた。
「へえ、なるほど。物を操る感じか。……良かった。複数相手だったら、制御できないから、ね」
恐怖で悲鳴すら上げられない男性へ、カインはにこりと微笑む。刀を相手の腕に付け、
「——」
呪文を唱えた。
*
「……大丈夫?」
真白が着いた時、そこには地面に蹲ってうなる男性と、少し離れたところでフェイの隣に座りこんでいるカイン。何とも言えない状況だが、一応この状況は想定済みな真白はそこまで動じない。強いて言うなら、「思っていたよりはマシな状態」だったことに驚いていた。
カインは真白を見ると、手をぱたぱたと振ってくる。目の前まで行くと、カインは苦笑交じりに
「ちょっと、やりすぎた?」
「……まだいけると思う。というかもう全てカインさんが決めれば良いと思う」
カインさん僕より強いし。
そう呟き、真白はフェイを見る。
「し、死んでないよね?!」
「僕の場合はピンピンしてるね。あのおじさんの首刈るくらいなら造作もない」
「あー……」
「つまりこのくらいなら普通に治せます」
治せます、といったあたりでは銃をぶっ放していた真白。もちろん治癒用。カインにも撃ち、男性に目を向ける。
「んー……、霊雨?」
「うん。よくわかったね」
「カインさんの使う幻覚は、今のところそれしか知らない」
「まあ、それしかないからねー」
うなり続けている男から目を離した。
「何はともあれ無事なのかはよくわからないが良かった。僕、まだ修復してるから……じゃあ、早めに帰ってきて」
「ありがとう。もう戻るから大丈夫」
フェイを横抱きにして立ち上がると、にこりと笑って真白についてくる。鈴芽の反応を見てみたいと思ってしまう真白再び。
「この後どうする?」
「?」
「僕たちは“魔王軍討伐”。カインさんは?」
「んー、しばらくはフェイといるつもり。待たせちゃったし」
「それが良いと思う。……」
宿の前で、カインは立ち止まる。扉をあける直前だった真白はドアノブに手をかけたまま振り返った。
「危ない、言い忘れてた」
「……何を?」
「魔王は今、
——氷の町、グラキエスの城を再建築。そこにいる」