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Re: EUREKA ( No.134 )
日時: 2015/06/05 21:33
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 翌日、カインとフェイは一行と別れた。そして——

「腕が痛い……」
「まあ、いくら真白の治癒があっても貫通してたら……いや、違う。俺の怪我治ってる。……フェイ、真白に嫌われてるんじゃない?」
「あのガキィィィ!!!」
「俺の妹に手出したらいくらフェイでもゆるさなーい↑」
「なんだよ「ゆるさなーい↑」って。どんなノリだよ……」
「久しぶりだから遊んでみた」

 お戯れのご様子。元気そうでなにより。2人はそんな話をしながら人通りの多い街を歩いていた。
 真白が差別するとは考え辛い。そう思ったカインは本気で原因を探す。

「……フェイ。君、腕は怪我してなかったよね」
「ん? ……え、あ、本当だ。へ、嘘だろ。このオレ様が気付かないうちに……?!」
「どんだけ自分に自信持ってるのさ。昨日実質2回負けたよな? な?」
「うるせえ黙れ」

 昨日の時点では無傷だった左腕。服の内側から、じわじわと血が染み出している。
 その時、フェイの肩が誰かにぶつかった。

「「……ッ」」
「あ、ごめんな。大丈夫か? って、血出てるぞ?! モロいなおい!!」
「いや、こちらこそ……、いや待てこれはお前とぶつかる前からあったわ! 肩ぶつかって腕怪我するってどんなだよ!!」

 初対面相手になんでそんな馴染んでるんだよ。カインはツッコミの言葉をそっと胸にしまった。
 白いロングコートに真っ黒なファーと、銀髪でオオカミの耳。

「……なあ、お前ら。ゴウライとシオンってやつ知らね? この辺でそんなエーテル察知したんだが」
「知らん」
「えっと、その人たちがどうかしたんですか?」
「ちょっと……な」

 完全に企んでる表情。
 カインは内心ドン引きしながら、「ここでは邪魔になる」ということで2人を連れて人通りの少ない場所を探す。といっても、路地裏を抜けたら昨日の戦地なわけだが。

「はい、俺の名前はクロウド・カイン。こいつはフェイ・カイト」
「俺は五月雨狼。元魔王軍」
「魔王軍?! 嘘、待って、メモ帳、10秒待て!!」
「落ち着けあまねちゃん……」

 腐っても情報屋。情報源への執着は——特に最近世を騒がせている魔王関連の情報は——凄まじいものである。
 カインがズボンからメモ帳とペンを取り出し、その場に正座するまでかかった時間は5秒。次は狼がドン引きである。

「えー……。何だっけお前。そう、フェイ・カイト」
「フェイって呼べ、面倒だ」
「こいつ、どうしたらいいんだ?」
「こうなったあまねちゃんを止めれそうなやつ、オレは1人しか知らん。諦めろ」

 そして“こうなったあまねちゃんを止めれそうなやつ”は今朝別れたため不在。ついでに狼の尋ね人も不在。
 狼が思ったことはただ1つ。——結局俺の質問答えてねェよこいつら。